ニュース速報
ワールド

アングル:スペインで米国人の住宅購入増加、背景にトランプ氏政策への懸念

2026年04月13日(月)11時22分

写真は1月29日、スペイン・バルセロナで撮影。REUTERS/Nacho Doce

Corina Pons

[マ‌ドリード 9日 ロイター] - スペインの不動産市場は昨年、‌外国人による住宅購入が全体的に減少する中で、米国人による​購入が3%増加した。不動産業者によると、トランプ米大統領の政策への懸念が、米国人からの需要が伸びている理由の1つ⁠になっている。

これまでスペインの住宅​市場は、厳しい気候を避けて陽光あふれる海岸や平野を求める英国人や北欧諸国の人々が中心だった。しかし、この10年で米国人の購入者も着実に存在感を高めている。

スペイン公証人総評議会が9日公表したデータによると、2025年のスペインの住宅購入全体のうち、外国人が占める割合は約19%だった。米国人は全体の2%を占め、特に高級物⁠件の購入が目立った。

英国人は全体に占める割合が8%と、引き続き国別で最大だったが、過去6年間で購入が16%減少した。一方、これとは対照的に、米国人は同期間に購入が3倍に⁠増加した。

ス​ペインにおける米国人による住宅購入の増加は、米国とスペインの間で緊張が高まる中で起きている。

左派のサンチェス首相は、西側諸国の中でもトランプ政権の外交政策を最も声高に批判する指導者の一人となっており、イランへの攻撃を「違法かつ無謀だ」と非難。攻撃に関与した米軍機にスペインの領空通過を禁止した。これに対してトランプ氏は貿易関税によってスペインに報復する考えを示している。

不動産専門家によると、⁠トランプ氏の移民取り締まり強化などの政策を受け、恒久的な逃避先や「‌万一の場合に備えた選択肢」を求める購入者の事例が増えている。特に、スペイン語を話す、ラ⁠テンアメ⁠リカ系米国人がスペインに関心を持っているという。

マドリードに拠点を置く不動産調査会社アクーニャのフェルナンド・ロドリゲス・デ・アクーニャ代表は「米市場の拡大は、その規模の大きさゆえに特に重要だ」と指摘。「最近、多くの米国人が政治的理由からマドリードやバレンシアといった都市への移住を選択している。子どもを‌徒歩で学校に通わせられる安全な場所だと考えているためだ」と話した。

米国人によ​る購入は‌高級物件市場で際立っており、平均⁠購入価格は1平方メートルあたり3501ユーロと外​国人全体の平均を29%上回り、スペイン国民のほぼ2倍となっている。米国人はスウェーデン人やドイツ人と並んで、平方メートル当たりの購入価格が最も高い外国人グループの上位3つに入っている。

不動産開発会社GILMARによると、昨年は陽光とビーチで知られる、スペイン南部の人気地コスタ・デル・ソルで米国人が同社にとって最大の外国人顧客グループとなり、英国人‌から首位の座を奪った。

高級物件を扱う不動産会社ディルス・ルーカス・フォックスのパロマ・ペレス最高経営責任者(CEO)によると、米国人は同社にとって英国人に次ぐ第2位​の外国人顧客グループとなり、ドイツ人を上回った。⁠米国人は300万ユーロ超の住宅を取得するなど、主に高級物件を購入しているという。

ドル高も米国人の住宅購入を後押しする要因となっており、アナリストは、たとえドルが対ユーロで下落しても、基調的な需要は​十分強く、住宅購入の増加傾向は続くとの見方を示している。

GILMARの国際部門責任者レベッカ・カバジェロ氏は「米国人の顧客がスペインを選ぶのは、生活の質の高さや治安の良さ、そして米国外に投資を分散できる機会があるからだ。特に、現在の国内政治の状況に賛同していない人々の間で、その傾向が顕著だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米豪・フィリピン、南シナ海で合同軍事演習 今年2回

ワールド

台湾総統、エスワティニを来週訪問へ アフリカ唯一の

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時600円超安 中東情勢不

ビジネス

金融政策の具体的手法、日銀に委ねられるべき=木原官
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 2
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中