アングル:スペインで米国人の住宅購入増加、背景にトランプ氏政策への懸念
写真は1月29日、スペイン・バルセロナで撮影。REUTERS/Nacho Doce
Corina Pons
[マドリード 9日 ロイター] - スペインの不動産市場は昨年、外国人による住宅購入が全体的に減少する中で、米国人による購入が3%増加した。不動産業者によると、トランプ米大統領の政策への懸念が、米国人からの需要が伸びている理由の1つになっている。
これまでスペインの住宅市場は、厳しい気候を避けて陽光あふれる海岸や平野を求める英国人や北欧諸国の人々が中心だった。しかし、この10年で米国人の購入者も着実に存在感を高めている。
スペイン公証人総評議会が9日公表したデータによると、2025年のスペインの住宅購入全体のうち、外国人が占める割合は約19%だった。米国人は全体の2%を占め、特に高級物件の購入が目立った。
英国人は全体に占める割合が8%と、引き続き国別で最大だったが、過去6年間で購入が16%減少した。一方、これとは対照的に、米国人は同期間に購入が3倍に増加した。
スペインにおける米国人による住宅購入の増加は、米国とスペインの間で緊張が高まる中で起きている。
左派のサンチェス首相は、西側諸国の中でもトランプ政権の外交政策を最も声高に批判する指導者の一人となっており、イランへの攻撃を「違法かつ無謀だ」と非難。攻撃に関与した米軍機にスペインの領空通過を禁止した。これに対してトランプ氏は貿易関税によってスペインに報復する考えを示している。
不動産専門家によると、トランプ氏の移民取り締まり強化などの政策を受け、恒久的な逃避先や「万一の場合に備えた選択肢」を求める購入者の事例が増えている。特に、スペイン語を話す、ラテンアメリカ系米国人がスペインに関心を持っているという。
マドリードに拠点を置く不動産調査会社アクーニャのフェルナンド・ロドリゲス・デ・アクーニャ代表は「米市場の拡大は、その規模の大きさゆえに特に重要だ」と指摘。「最近、多くの米国人が政治的理由からマドリードやバレンシアといった都市への移住を選択している。子どもを徒歩で学校に通わせられる安全な場所だと考えているためだ」と話した。
米国人による購入は高級物件市場で際立っており、平均購入価格は1平方メートルあたり3501ユーロと外国人全体の平均を29%上回り、スペイン国民のほぼ2倍となっている。米国人はスウェーデン人やドイツ人と並んで、平方メートル当たりの購入価格が最も高い外国人グループの上位3つに入っている。
不動産開発会社GILMARによると、昨年は陽光とビーチで知られる、スペイン南部の人気地コスタ・デル・ソルで米国人が同社にとって最大の外国人顧客グループとなり、英国人から首位の座を奪った。
高級物件を扱う不動産会社ディルス・ルーカス・フォックスのパロマ・ペレス最高経営責任者(CEO)によると、米国人は同社にとって英国人に次ぐ第2位の外国人顧客グループとなり、ドイツ人を上回った。米国人は300万ユーロ超の住宅を取得するなど、主に高級物件を購入しているという。
ドル高も米国人の住宅購入を後押しする要因となっており、アナリストは、たとえドルが対ユーロで下落しても、基調的な需要は十分強く、住宅購入の増加傾向は続くとの見方を示している。
GILMARの国際部門責任者レベッカ・カバジェロ氏は「米国人の顧客がスペインを選ぶのは、生活の質の高さや治安の良さ、そして米国外に投資を分散できる機会があるからだ。特に、現在の国内政治の状況に賛同していない人々の間で、その傾向が顕著だ」と述べた。





