ニュース速報
ワールド

韓国大統領を拘束、現職で初 尹氏「流血避けるため出頭」

2025年01月15日(水)14時40分

 1月15日、韓国の高官犯罪捜査庁(高捜庁)や警察などによる合同捜査本部は尹錫悦大統領を拘束したことを明らかにした。写真は拘束された尹氏を乗せているとみられる車列。ソウルで撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)

Hyunsu Yim Ju-min Park

[ソウル 15日 ロイター] - 韓国の高官犯罪捜査庁(高捜庁)や警察などによる合同捜査本部は15日午前、尹錫悦大統領を拘束した。尹氏に対しては、非常戒厳宣布を巡る内乱容疑などで拘束令状が出されていた。

 合同捜査本部はきょう未明、令状執行に向けて尹氏の公邸に3000人以上の警察官らを配備。公邸前には尹氏の拘束に抗議する支持者や与党「国民の力」の議員などが集まり、現場は一時騒然とした。

韓国で現職大統領が拘束されるのは初めて。

尹氏は声明文を発表し、流血の事態を防ぐため出頭に応じることに同意したと主張。「きょう、彼らが消防器具を使って警備区域に入るのを見たとき、私は捜査に応じることを決めた。違法な捜査ではあるが、流血を防ぐためだ」と語った。

尹氏の車列は捜査を指揮する高捜庁の事務所に到着したが、直ちに警備員に囲まれて建物の裏に移動し、尹氏は報道陣を逃れて中に入った。

当局は今後、尹氏を48時間取り調べることが可能。その後、令状を取って最大20日間勾留するか、もしくは釈放することになる。

尹氏の弁護団はこれまで、拘束令状は誤った管轄の裁判所で発布され、捜査本部には法的な捜査権限がないため、違法な令状だと主張している。ロイターが確認した令状の写しには、同氏が「内乱の首謀者」と記されている。

米国家安全保障会議の報道官は、韓国政府との協力に引き続きコミットしているとした上で、「憲法に従って行動する」同国政府と国民の努力に謝意を示した。

日本の林芳正官房長官は15日午前の会見で、韓国国内の動向を「特段、かつ重大な関心を持って注視している」と述べた。国際社会における重要な隣国であり、日韓関係の重要性は変わらないとの認識を示した。

韓国の世論調査では国民の多くが非常戒厳宣布を非難し、尹氏の弾劾訴追を支持している。ただ、政治的対立が同氏の支持者に活力を与え、与党「国民の力」はここ数週間で勢いを取り戻している。

13日発表されたリアルメーターの世論調査によると、国民の力の支持率は40.8%、最大野党「共に民主党」は42.2%と、その差は誤差の範囲内に縮小した。前週時点では10.8%開いていた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

シンガポール金融大手UOB、第4四半期は9%増益

ビジネス

英賃上げ率3%、21年以来の低水準に=ブライトマイ

ビジネス

米フォード、管理職への株式賞与を一部中止 コストを

ワールド

カタール、インドに100億ドル投資へ 貿易多様化目
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 2
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「20歳若返る」日常の習慣
  • 3
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防衛隊」を創設...地球にぶつかる確率は?
  • 4
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 7
    祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」…
  • 8
    1月を最後に「戦場から消えた」北朝鮮兵たち...ロシ…
  • 9
    ウクライナの永世中立国化が現実的かつ唯一の和平案だ
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 7
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 8
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中