ニュース速報
ワールド

英財務相、金融サービス成長に向け規制体系の抜本的見直し約束

2024年11月15日(金)11時08分

 11月14日、リーブス英財務相は、金融街シティーの中心にあるロンドン市長公邸(マンションハウス)における演説で、金融サービス分野の規制体系を抜本的に見直すと約束した。ロンドンで3日撮影(2024年 ロイター/Chris J. Ratcliffe)

Sinead Cruise David Milliken

[ロンドン 14日 ロイター] - リーブス英財務相は14日、金融街シティーの中心にあるロンドン市長公邸(マンションハウス)における演説で、金融サービス分野の規制体系を抜本的に見直すと約束した。これまでの規制体系は、世界金融危機以降のシティーの発展に足かせとなり、英経済成長を妨げてきたとしている。

リーブス氏は、世界的な金融センターという英国の立場を当然視せず、そうした地位を積極的に確保していくための改革に乗り出すと表明した。

その上で「世界金融危機後に歴代政権が当時の国際的な経済情勢に即した規制の見直しを行ってきたのは正しかったが、大事なのは過去の教訓を学ぶことだ。これらの見直しは金融システムからリスクテークの動きを一掃する狙いだったとはいえ、幾つかの領域で行き過ぎて予期せぬ事態を招き、今われわれの対応が必要になっている」と述べた。

リーブス氏は、英国の金融サービスの潜在的な成長力を最大限発揮させるために、資本市場とフィンテック、持続可能性ファイナンス、資産管理・ホールセールサービス、保険・再保険という5つの分野で具体的な成長戦略を提示していくと明らかにした。

来年春にこうした提案を公表し、労働党政権が掲げる10カ年の産業振興戦略の中核に位置付けるという。

「英国はこれまでリスク規制は行ってきたが成長のための規制は行ってこなかった」と述べ、イングランド銀行(英中央銀行)と英金融行動監視機構に対し、金融の安定だけでなく政府の成長目標支援にも一層注力するよう指示する書簡を送ったと明らかにした。

イングランド銀行のベイリー総裁はリーブス氏の直後に演説し、同氏の規制当局への批判には言及せず、政府の成長重視を歓迎するとし、欧州連合(EU)との貿易関係の再構築を推奨した。

リーブス氏の提案を金融業界関係者は評価した。大手JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州・中東・アフリカ地域最高経営責任者(CEO)で英投資協会のパトリック・トムソン会長は「英国の規制の枠組みが効果的で適切に調整されていることは極めて重要だ。したがって、リスクに対してよりバランスの取れたアプローチが必要であるというリーブス氏の認識を歓迎する」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ポーランド、最後のロシア総領事館閉鎖へ 鉄道爆破関

ビジネス

金融規制緩和、FRBバランスシート縮小につながる可

ワールド

サマーズ氏、オープンAI取締役辞任 エプスタイン元

ワールド

ゼレンスキー氏、トルコ訪問 エルドアン大統領と会談
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中