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焦点:ロ朝首脳会談、孤立国の結束で米主導の国際秩序に挑戦

プーチン・ロシア大統領の北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との会談について、アナリストは、実利的な協力が実現するかどうかはともかく、関係の深化で西側に警告を発することが狙いだとみている。写真は13日、ボストーチヌイ宇宙基地で会談する両首脳。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が提供(2023年 ロイター)
Josh Smith
[ソウル 14日 ロイター] - プーチン・ロシア大統領の北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との会談について、アナリストは、実利的な協力が実現するかどうかはともかく、関係の深化で西側に警告を発することが狙いだとみている。
13日に会談したプーチン、金両氏は互いを「同志」と呼び親密さを印象付けた。
共に地政学的に孤立するロシアと北朝鮮が、頼れるパートナーがいることを誇示し、ウクライナ戦争や、核・ミサイル開発を巡る米国主導の制裁や圧力を弱めようとしている、とアナリストはみる。
米ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターのドゥヨン・キム氏は、両氏は会談によって、二国間の取引上の恩恵のみならず、地政学的恩恵も得ると指摘。プーチン氏にしてみれば「核保有国が軍事的に協力しているという印象を与えることで、ウクライナを支援する米国の同盟国や同志国に、潜在的な影響について警告を送る」ことができ、金氏としては「ロシアが後ろ盾になっていることを米国、韓国、日本に示すことになる」と述べた。
会談では、軍事面の協力の深化で合意し、プーチン氏は北朝鮮の人工衛星計画を支援すると述べた。
梨花女子大学(韓国)のレイフエリック・イーズリー教授は、単に秘密裡の武器取引が目的なら、わざわざ首脳が直接会う必要はないとし「プーチン、金両氏の外交的誇示は、米国主導の国際秩序への挑戦、中国への過度の依存の回避、ウクライナや韓国に関するライバル国への圧力強化での成功を主張するためのもの」との見方を示した。
国民大学(韓国)のアンドレイ・ランコフ教授は、今回の首脳会談は北朝鮮に関して言えば核・ミサイルを巡る国連安保理決議が、その他の制裁措置と同様、有名無実化したことを示唆するとみる。「安保理決議が気に入らなければ、それを無視すればいいという重大な前例ができた。ロシアだけでなく、主要な国際的プレーヤーに利用されるだろう」と語った。
さらに、両国の防衛協力を前面に打ち出すことで、韓国に対し、ウクライナに直接軍事支援するなという強いメッセージを韓国に送ることができるとも指摘した。ただ、ロシアが、制御不能になりかねない先端技術を北朝鮮に提供する可能性は低いとみている。
ロシア、北朝鮮、そして中国が米国を中心とする西側の包囲網に脅威を感じているのであれば、対抗軸として同盟などを形成し助け合うのは当然だ。しかし韓国外国語大学のメイソン・リッチー教授は、3カ国には過去にそうした関係をうまく機能させたことがあまりないと指摘する。「プーチン、金、習近平(中国国家主席)の3氏が本当に長期的な同盟関係を築けるほど信頼し合えるとは考えにくい。独裁者同士が協力するのは難しい」と語った。