ニュース速報

ワールド

北朝鮮によるロシアへの武器提供、戦況左右せず=軍事アナリスト

2023年09月12日(火)15時43分

 9月12日 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は12日早朝、専用列車でロシアに到着した。写真は2018年9月、北朝鮮・平壌で撮影(2023年 ロイター/Danish Siddiqui)

Josh Smith

[ソウル 12日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は12日早朝、専用列車でロシアに到着した。プーチン大統領との会談では武器売却が話し合われるとみられる。ウクライナとの戦争を続けるロシアに北朝鮮が砲弾やその他の兵器を提供すれば、ロシア軍の弾薬在庫はその分だけ長持ちするかもしれないが、戦況を変化させることはないと軍事アナリストは分析している。

北朝鮮は旧ソ連時代の兵器と互換性のある砲弾やロケット弾を大量に備蓄しているとされ、そうした弾薬を製造してきた歴史もある。

国際戦略研究所のジョセフ・デンプシー国防研究員は「北朝鮮が持つ武器備蓄の規模や経年劣化の程度については、生産の規模と同様に不明な部分も多いが、ウクライナ戦争で枯渇したロシア軍の備蓄の補充に役立つ可能性がある」と話す。一方で「備蓄が補充されれば、戦争を長引かせるかもしれないが、結果を変える可能性は低い」と指摘した。

ストックホルム国際平和研究所のシーモン・ウェゼマン氏は「(北朝鮮が提供する可能性がある)弾薬はハイテクではないだろうが、ロシア軍の能力は短期的には大幅に向上すると分析した。「北朝鮮の弾薬はとても『先進的』とは言えないものであり、伝統的な弾幕作戦には役立つだろうが、ロシアに精密弾薬を提供することにはならない」とした。

北朝鮮の武器の質を疑問視する見方も出ている。英国王立防衛安全保障研究所のパトリック・ヒントン英陸軍研究員はロイターに対し、北朝鮮の砲弾の品質について、許容できない程度の欠陥があった場合は影響が生じる可能性があると語った。「粗悪な弾薬は性能に一貫性がなく、飛行に悪影響を与え、精度を低下させるかもしれない」とし「これらは全て高い仕様で作られる必要がある。そうでなければ想定していた場所に着弾できず、壊滅的な結果を招きかねない」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、パキスタンへの報復で水資源制限を検討=関係

ビジネス

米中上乗せ関税停止、90日間より延長すべき=中国共

ビジネス

アングル:自社株買いが刺激する海外マネー、業績より

ワールド

トランプ米大統領、中東歴訪終了後「ワシントンに戻る
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 2
    宇宙から「潮の香り」がしていた...「奇妙な惑星」に生物がいる可能性【最新研究】
  • 3
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習い事、遅かった「からこそ」の優位とは?
  • 4
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 5
    戦車「爆破」の瞬間も...ロシア軍格納庫を襲うドロー…
  • 6
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 7
    対中関税引き下げに騙されるな...能無しトランプの場…
  • 8
    トランプに投票したことを後悔する有権者が約半数、…
  • 9
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 8
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中