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トランプ氏起訴、共和党ライバル候補が司法の「武器化」批判

2023年06月10日(土)02時55分

 6月9日、トランプ前米大統領(写真右)が政府の機密文書の保持と司法妨害を巡り連邦大陪審に起訴されたことを受け、2024年の大統領選で共和党候補指名を争うライバル候補らが相次いで司法の「武器化」を批判した。写真左はフロリダ州のロン・デサンティス知事。2020年4月、米ワシントンで撮影(2023年 ロイター/Carlos Barria)

[9日 ロイター] - トランプ前米大統領が政府の機密文書の保持と司法妨害を巡り連邦大陪審に起訴されたことを受け、2024年の大統領選で共和党候補指名を争うライバル候補らが相次いで司法の「武器化」を批判した。

指名争いで勝利するために取り込む必要があるトランプ氏の支持層を敵に回したくないとの懸念が背景とみられる。

ロン・デサンティス・フロリダ州知事は「連邦法執行機関の武器化は自由社会に対する重大な脅威だ」とツイッターに投稿。「われわれは長年、所属政党によって法の適用が一律ではないことを目の当たりにしてきた」と述べた。

ティム・スコット上院議員もFOXニュースとのインタビューで、連邦検察機関の「武器化」を批判。今の司法制度は不公正だとの認識を示した。

ニッキー・ヘイリー前サウスカロライナ州知事はツイッターへの投稿で、トランプ氏に対する捜査には欠陥があり、米国人は「検察の過剰捜査に疲弊している」と述べた。同時に「終わりなきドラマや妨げを乗り越える時期が来た」とし、トランプ氏を取り巻く混乱が絶えないことを示唆した。

ペンス前副大統領は保守系ラジオ番組で、司法省のバイアスを非難しつつも、トランプ氏に対する起訴状を公開するよう呼びかけ、米国民が「司法省の武器化や政治化に向けた新たな動きなのか、それとは違う動きなのか、自身で判断できるようにすべき」と述べた。

ホワイトハウスのダルトン報道官は9日、トランプ前大統領の起訴について、バイデン大統領は事前に認識していなかったと明らかにした。

バイデン大統領は前日、トランプ氏の起訴が報じられる前の記者会見で、司法省がトランプ氏の捜査も含め、公正に独立して行動していることを国民は信頼できるとし、「私は一度も起訴の是非について司法省に何をすべきか、何をすべきでないか示唆したことはない」と述べた。

共和党候補指名争いに参戦しているベンチャーキャピタリストのビベック・ラマスワミ氏は、バイデン政権の司法省がトランプ氏を不当に標的にしていると非難。当選すればトランプ氏を恩赦するとの声明を発表した。

現時点でトランプ氏を真っ向から批判している共和党候補は、エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事のみ。トランプ氏が「法の支配を軽視」しているとして、選挙戦撤退を呼びかけた。

共和党候補指名を目指すクリス・クリスティー前ニュージャージー州知事は、起訴の詳細を見極めたいとツイッターに投稿した。

だが、ライバル候補はおおむねトランプ氏を擁護している。トランプ氏は3月、元ポルノ女優に払ったとされる口止め料に関連して起訴されたが、その結果支持率は上昇し、ライバル候補はこの点を意識しているとみられる。多くの共和党支持者は起訴が政治的な意図に基づくと考え、トランプ氏の支持に回っている。

共和党有権者の30%はトランプ氏の支持層とみられており、ライバル候補は支持者の反発を買うことを警戒している。

ただトランプ氏を巡っては、ジョージア州で前回大統領選に介入した疑惑や、21年1月6日の連邦議会襲撃事件に関与した疑いでも捜査が進められている。

アリゾナ州で長年共和党のコンサルタントを務めるチャック・コフリン氏は、起訴が相次げば、他の共和党候補がトランプ氏では選挙に勝てないと主張し始めるだろうと予想している。

ロイター
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