ニュース速報

ワールド

米、シリアの親イラン勢力を空爆 国防総省「状況悪化望まず」

2021年02月26日(金)19時41分

 2月25日、米軍は、バイデン大統領の指示を受け、シリア東部のイラン系武装勢力の施設に空爆を行った。写真は国防総省。アーリントンで昨年10月撮影(2021年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 25日 ロイター] - 米軍は25日、バイデン大統領の指示を受け、シリア東部のイラン系武装勢力の施設に空爆を行った。

空爆はイラクの米軍拠点を狙った先週15日のロケット弾攻撃を受けた措置。イラク北部クルド人自治区の基地を狙った15日の攻撃では、米国人ではないコントラクター1人が死亡、米軍兵士を含む数人が負傷した。

シリアの国有エフバリヤテレビは、病院関係者や匿名の情報筋の話として、米軍による空爆で17人が死亡したと報じた。死者数の確認はとれていない。

国防総省のカービー報道官は声明で、バイデン大統領から空爆の指示があったとした上で「バイデン大統領は米国人および同盟国の人々を守るために行動する方針だ。われわれは、シリア東部とイラクの状況をエスカレートさせない形で行動した」と述べた。

空爆で、イランの支援を受けた、カタイズ・ヒズボラ(KH)、カタイブ・サイイド・アルシュハダ(KSS)などの武装勢力が使用する複数の施設を破壊したとしている。

米政府筋は空爆について、米国は武装勢力に報復したいが、状況がより大きな紛争に発展することを望んでいないというサインと説明した。またバイデン氏はいくつかの選択肢を提示され、最も限定的な対応を選択したと明かした。

下院外交委員会の共和党トップ、マイケル・マッカウル議員は、空爆は「必要な抑止措置で、イランなど米国人や施設を攻撃する敵国に、容赦しないというメッセージになる」と述べた。

ワシントンの有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のスザンヌ・マロニー氏は、空爆は、バイデン政権がイランが支援する武装組織に対抗しつつ、イランと核合意について交渉する可能性を示したと指摘した。

ロシア外務省報道官は、「シリアの主権と領土保全を無条件で尊重することを求める」として空爆を強く非難した。ロシア大統領府も、米軍の空爆を受けて、シリア情勢を注視していると表明。シリア当局と緊密に連絡を取り合っていることを明らかにした。

*ロシアの反応を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中