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アングル:ケネディ対ニクソンから60年、米大統領選討論の軌跡

2020年09月30日(水)18時37分

9月27日、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領(右)と民主党のジョー・バイデン候補(左)は大統領選に向け、テレビでの討論番組で対決する。バイデン氏の写真はデラウェア州ウィルミントンで、トランプ氏の写真はホワイトハウスで4日撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque/Leah Millis)

[27日 ロイター] - 共和党の現職ドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン候補は、29日、大統領選に向け、テレビでの討論番組で対決する。テレビ討論は、現代の米国政治史において最も記憶に残る瞬間に彩られた、60年に及ぶ伝統である。

1960年  民主党が指名したジョン・F・ケネディ候補と共和党のリチャード・ニクソン副大統領のあいだで、初のテレビ討論が行われた。ニクソン氏は病院から戻ったばかりで、テレビ出演用のメイクも拒んだことから無精髭が目立った。7000万人の視聴者は、両候補の言葉よりも見た目に注意を惹かれた。ケネディ候補が当選した。

1976年  16年ぶりにテレビ討論が行われ、民主党のジミー・カーター候補が、選挙を経ずに副大統領から昇格した共和党のジェラルド・フォード大統領と対決した。フォード氏の「東欧はソ連の支配下にはなく、フォード政権が続く限り、将来もそうならないだろう」という言葉は重大な失言と見なされた。カーター候補が当選した。

1980年  カーター大統領は、独立系のジョン・アンダーソン候補も参加した初回のテレビ討論をボイコットした後、2回目の討論に共和党のロナルド・レーガン候補と共に出演した。カーター大統領は、高齢者対象の医療保険「メディケア」の削減を計画しているとしてレーガン候補を批判した。レーガン候補は、かねてからカーター氏が多くの問題について対立候補の立場を歪めて伝えていると批判していたが、「ほら、またやっている」と苦笑してみせた。この言葉が視聴者の笑いを誘い、その後のキャッチフレーズになった。レーガン候補が当選した。

1984年  民主党が指名した56歳のウォルター・モンデール候補に対し、73歳のレーガン大統領は、次のような皮肉で自身の高齢という弱点をはぐらかした。「申し上げておきたいが、私はこの選挙戦において、年齢を問題視するつもりもない。政治的な目的で、対立候補の若さや経験不足につけ込もうとは思わない」 レーガン大統領は再選された。

1988年  共和党候補のジョージ・H・W・ブッシュ副大統領と民主党のマイケル・デュカキス候補との討論は、「あなたの妻を強姦し殺害した犯人の死刑を求めるか」という質問から始まった。批判派から「アイスマン」と揶揄されていたデュカキス候補にとって、この質問は人情味溢れる側面を示すチャンスだったが、生真面目な対応を見せたことで台無しになった。ブッシュ候補が当選した。

副大統領候補どうしの討論は、ブッシュ候補の相方であるダン・クエール候補が、自分の政治経験をジョン・F・ケネディと同程度だと述べたことで熱を帯びた。民主党のロイド・ベンツェン候補は静かに、淡々と言った。「上院議員、私はジャック・ケネディの同僚だった。彼を知っているし、私の友人だった。上院議員、あなたは断じてジャック・ケネディではない」

1992年  このときは3人の候補者だった。ブッシュ大統領、民主党のビル・クリントン候補、独立系のロス・ペロー候補である。クリントン候補が当選した。

1996年  クリントン大統領との討論の際、共和党のボブ・ドール候補に対して、ある学生が「73歳という高齢では、若い人々が何を求めているか理解できないのではないか」と質問した。ドール候補は、自分の年齢になれば、知性と経験がもたらす叡智という優位がある、と答えた。するとクリントン候補は、こう反撃した。「ドール上院議員が大統領になるのに高齢すぎるとは思えない、ということだけは言える。しかし、私が問題にしたいのは、彼の理念の古さだ」 クリントン大統領は再選された。

2000年  共和党のジョージ・W・ブッシュ候補との最初の討論の際、民主党のアル・ゴア副大統領は、ブッシュ候補が話している最中に聞こえよがしに溜息をついたことで不評を買った。2回めの討論の際、ブッシュ候補は「私たちは皆間違いを犯す。私自身、ときどき発音を間違うことで有名だ」と述べた。この発言のなかでもブッシュ候補はわざと発音を間違えていた。ブッシュ候補が当選した。

2004年  ブッシュ大統領と民主党ジョン・ケリー候補の最後の討論は、有権者に両者のスタイルの顕著な違いを伝えた。ブッシュ大統領が簡潔な根拠にこだわったのに対し、ケリー候補は自分の主張を裏付けるために多くの事実を並べた。ブッシュ大統領は再選された。

2008年  副大統領候補どうしの活気はあるが礼儀を失わない討論のなかで、共和党ジョン・マケイン候補の相方であるサラ・ペイリン、民主党バラク・オバマ候補の相方であるジョー・バイデンの両氏は、経済とイラク問題について激突した。ペイリン氏は頻繁に庶民的なスタイルを披露した。ペイリン氏はある時、「ああ、ジョー、何言ってんの」とくだけた調子で言い、おまけに「畜生!」とまで言い添えた。バイデン、ペイリン両氏とも米国の経済政策をミドルクラスの労働者に優しいものにすることを約束したが、バイデン氏は、金融危機の最中にマケイン大統領候補が「経済のファンダメンタルズは強い」と発言したことを指摘した。オバマ、バイデン組が当選した。

2012年  オバマ大統領は共和党ミット・ロムニー候補との最初の討論で失敗し、支持者を驚かせ、気を揉ませた。だが2回めの討論でロムニー候補は、給与の男女格差に関する質問に対し、知事を務めるマサチューセッツ州政府を組織する際にスタッフ候補のなかに「掃いて捨てるほど女性がいた」と発言した。このフレーズは、ロムニー氏を揶揄するツイートやイラスト、フェイスブックでの同名のグループまで生まれるなど、ソーシャルメディア上で大いに話題になった。オバマ大統領は再選された。

2016年  ドナルド・トランプ候補と民主党ヒラリー・クリントン候補による1回めの討論は、米国内で8400万人がテレビで視聴した。大統領選に向けた討論としては過去最多であり、デジタル・ストリーミングの時代にあって異例の数値だった。2回めの討論は非難の応酬に終始し、クリントン候補は、暴露されたばかりの2005年のビデオ映像におけるトランプ候補の女性に対するセクハラ発言を攻撃した。トランプ候補は、対立候補の夫であるビル・クリントン氏の方が女性に対して酷い態度をとっていると非難して、批判をかわそうとした。クリントン氏は2017年に出版した著書のなかで、2回めの討論の際、トランプ候補がステージ上で彼女の周囲をうろついたことで身の毛のよだつ思いがしたと述べ、「下がりなさい、気持ち悪い」と言うべきだっただろうかと自問している。だが彼女は結局、「それまでの人生で、私を動揺させようという厄介な男たちに対処してきた経験に助けられて、冷静さを保った」と述べている。3回めの討論で、トランプ候補はクリントン候補を「この不愉快な女」と呼び、敗北した場合に選挙結果を受け入れるかどうか明言を避けた。

(翻訳:エァクレーレン)

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