ニュース速報

ワールド

石油・ガス市場に影響も、アルメニア・アゼルバイジャン衝突激化で

2020年09月28日(月)23時48分

ナゴルノカラバフの領有権を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突は、同地域からのエネルギー供給にまだ影響していないものの、衝突が激化すれば石油と天然ガスの輸出に影響が及ぶ可能性があると、アナリストが28日指摘した。写真は攻撃をするアゼルバイジャン軍。同外務省提供(2020年 ロイター)

[バクー/モスクワ/エレバン 28日 ロイター] - ナゴルノカラバフの領有権を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突は、同地域からのエネルギー供給にまだ影響していないものの、衝突が激化すれば石油と天然ガスの輸出に影響が及ぶ可能性があると、アナリストが28日指摘した。

アルメニアとアゼルバイジャンは27日、長年争いの場所となってきたナゴルノカラバフで両国軍が衝突。少なくとも兵士16人と複数の民間人が死亡した。衝突が起きたのは2016年以来で、石油・天然ガスの重要輸送路に当たる南コーカサス地方の政情不安定化懸念が再燃している。

アゼルバイジャンの主な石油輸出ルートは、ジョージア(グルジア)を経由してトルコの地中海沿岸に至るバクー・トビリシ・セイハン(BTC)パイプラインで、同国の石油輸出の80%を占めている。石油供給量は日量120万バレルで、世界全体の1%以上に当たる。

現在の輸出量は日量50万バレル以上となっている。

また、アゼルバイジャンのシャーデニズ1ガス田の生産量は80億立方メートル。シャーデニズ2ガス田の生産量は年間160億立方メートルに達する見込みで、欧州向けに100億立方メートル、トルコ向けに60億立方メートルが割り当てられるという。

コンサルタント会社オイルエックスはノートで、「ナゴルノカラバフでの軍事衝突は、石油やガスを世界市場に輸送する主要パイプラインの回廊地域の安定性を脅かすため、国際社会に懸念を与えている」と指摘。

格付け会社S&Pはロイターに対し、軍事衝突は現時点で「くすぶっている」状態であり、エネルギー供給への影響は少ないとした上で、「軍事衝突が一段と激化した場合には、国家財政やエネルギーの流れ、企業の流動性に与える影響を注視する」とした。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 

ワールド

インドのロシア産石油輸入、減少は短期間にとどまる可
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中