ニュース速報

ワールド

米、シリア北東部の一部米軍残留を検討=国防総省

2019年10月22日(火)04時16分

 10月21日、エスパー米国防長官は、米軍の一部をシリア北東部の油田近くにクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」とともに残留させ、原油が過激派組織「イスラム国」(IS)の手に渡らないようにすることが、現在検討している選択肢の一つであると明らかにした。写真は米アーリントンで11日撮影(2019年 ロイター/Erin Scott)

[ドホーク(イラク)/カブール/ワシントン 21日 ロイター] - エスパー米国防長官は21日、米軍の一部をシリア北東部の油田近くにクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」とともに残留させ、原油が過激派組織「イスラム国」(IS)の手に渡らないようにすることを検討していると明らかにした。

トランプ米大統領が表明した米軍によるシリア撤退の一環として、21日には100台以上の車両がシリア北部から国境を越えイラクに移動した。

アフガニスタンを訪問中のエスパー長官は記者団に対し、シリア北東部からの撤収が進められているが、一部部隊はまだ、SDFとともに油田付近にとどまっており、その一部を残留させることについて協議が行われていると指摘。選択肢の一つであり、決定は下されていないものの、異なる選択肢を検討することが国防総省の任務だと語った。

長官は「現在、その(油田)地域近くの複数の街に軍を配置している。目的は、その収入を邪悪な活動の資金にしようとするISなどの勢力を寄せ付けないことだ」と述べた。

米紙ニューヨーク・タイムズは20日遅く、トランプ大統領がイラク国境近くのシリア東部に約200人の米軍を残留させる新たな軍事計画を支持しつつあると報じた。ホワイトハウスは現時点でコメント要請に応じていない。

トルコはシリア北部で展開する軍事作戦を5日間停止することで米国と合意。停止期限は22日までだが、エルドアン大統領は21日、テレビ局主催のイスタンブールでの討論会で、期限前にプーチン大統領と会談し、シリア北東部に「必要な措置を取る」と述べた。ただ、詳細は明らかにしなかった。

エルドアン大統領はまた、「安全地帯」に複数の監視所を設置する方針も明らかにした。

これに対し、イラン外務省の報道官は21日、国営テレビで生中継された定例の記者会見で「トルコ政府によるシリアでの駐屯地設置に反対する」とし、「この問題は外交的手段によって解決されるべき」と主張した。

エルドアン大統領はSDFが撤退しない場合、停止期限後に軍事作戦を再開するとしているが、トルコ関係筋によると、国境地域全体ではなく、攻撃集中地域一帯からの撤退を確認することがトルコ政府の優先事項としている。

トランプ大統領はこの日、シリアに米軍が残留することは望まないとしながらも、シリアから撤収する軍の一部は米国に戻る前に別の場所に派遣されるとことを明らかにした。

トランプ氏はホワイトハウスで、小規模な米軍の一部が「原油の確保に向け少々異なる所」に残留するほか、「ヨルダンとイスラエルに近い、シリアのまったく異なる地域」にも残留すると述べた。

ただこれ以外に米軍が「とどまる理由はない」とし、 最終的に米軍は米国に帰還すると語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測

ビジネス

インドネシア中銀、2会合連続金利据え置き ルピア安

ワールド

政府・日銀、高い緊張感もち「市場注視」 丁寧な対話

ビジネス

オランダ政府、ネクスペリアへの管理措置を停止 対中
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中