ニュース速報

ワールド

対中投資制限で混乱、米高官が矛盾する発言 米株は大幅下落

2018年06月26日(火)14時30分

 6月25日、トランプ米政権が検討している米ハイテク企業への投資制限を巡り、政権高官は、規制の対象について相反する考えを示した。写真は中米両国旗。昨年6月に北京で撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米政権が検討している米ハイテク企業への投資制限を巡り、政権高官は25日、規制の対象について相反する考えを示した。先に発動された輸入関税の影響がサプライチェーンに影響し始めていることも明らかになり、25日の米国株式市場は大幅下落した。

ムニューシン米財務長官はこの日、米ハイテク企業への投資制限は中国だけに限定した措置ではなく、「米国の技術を盗用しようとする全ての国」が対象になると言明した。

一方、ホワイトハウスのナバロ通商製造政策局長は、米ハイテク企業への投資制限はいずれも中国を視野に入れたもので、世界全体を対象としているわけではないと述べ、ムニューシン財務長官と異なる認識を示した。

こうした中、米国株式市場ではS&P総合500とナスダック総合が約2カ月ぶりとなる大幅な下げを記録。ハイテク株が売り込まれ、グーグルの持ち株会社アルファベットが2.6%、アップルが1.5%、それぞれ下落したほか、アマゾン・ドット・コムも3%安となった。

<サプライチェーンに影響>

米国による先の関税発動や他国の報復措置が企業の生産やサプライチェーンに影響する兆候も出始めている。

米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンは、欧州連合(EU)が22日に発動した25%の追加関税に伴うコスト増は顧客に転嫁せず、欧州向けオートバイの生産を米国から海外に移す方針を明らかにした。

ハーレーの株価は6%安で引け、アナリストは同社の業績見通しを下方修正した。

このほか、米国の鉄鋼・アルミニウム関税や中国の報復関税の影響を受ける可能性が懸念されるキャタピラーやボーイングも売られ、株価はいずれも2%超下落した。

<トランプ政権内の隔たり>

通商政策を巡る高官の矛盾した発言は、中国に対してどの程度強硬な姿勢で貿易・産業政策の転換を求めるかを巡って意見の隔たりがあることを浮き彫りにしている。

ムニューシン財務長官は、世界のサプライチェーンに及ぶ影響への懸念から、中国製品に対する大幅な関税に消極的な姿勢を取ってきた。

一方、ナバロ通商製造政策局長は政権内で最も中国に批判的で、衝突も辞さない構えだ。

パフォーマンス・トラスト・キャピタル・パートナーズのブライアン・バトル氏は「市場は政治が政策になると受け止めている」と述べ、「市場は関税が現実になることを織り込み始めている。(当局者の)発言は一段と強硬になっている」との見方を示した。

また「貿易戦争は世界の国内総生産(GDP)減少を意味する。成長に悪影響をもたらす」と警告した。

<CFIUS審査厳格化法案>

アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の中国専門家、デレク・シザーズ氏は、議会が検討している対米投資審査厳格化法案の規定を中国による投資に適用する選択肢をムニューシン財務長官は支持するだろうとの見方を示した。

同法案は対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象を広げるもので、重要なインフラや技術を扱う米企業の完全買収だけでなく、少数株式取得についても審査対象に含める内容だ。

シザーズ氏は、こうしたルールは財務省の管轄になるとし、投資に関しては財務省の主張が通る可能性を排除しないと述べた。

一方、輸出制限は商務省と国家安全保障会議(NSC)が権限を持つ。トランプ政権当局者は、中国への制限を強化するため、1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)の発動を計画していると明らかにしている。

財務省や商務省の報道官はコメントの要請に応じていない。

*見出しを修正しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国でパナマ籍船拿捕が急増、状況を注視=米連邦海事

ワールド

米政府のAI責任者が辞任表明、大統領諮問委に移籍へ

ワールド

中国、生徒の学業負担軽減策を発表 過剰な宿題禁止な

ワールド

政府が石炭火力の稼働率引き上げ、1年限定 ホルムズ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 5
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    実は「ミュージカルはポリティカル」?...社会の闇を…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中