インタビュー:USスチール、来期は収益貢献 設備削減は必要ない=日鉄CFO
ロイターの取材に応じる日本製鉄の岩井尚彦最高財務責任者(CFO)。REUTERS/Ritsuko Shimizu
Ritsuko Shimizu Yuka Obayashi
[東京 20日 ロイター] - 日本製鉄の岩井尚彦最高財務責任者(CFO)はロイターのインタビューに応じ、昨年6月に買収した米鉄鋼大手USスチールについて、来期は収益貢献を見込んでいると明らかにした。需要減に直面する日本で進めたような設備削減は必要なく、市況が悪くても利益が出る体質への転換のために、高付加価値製品を増やす考えを示した。
日鉄は今期、USスチールから実力ベースの事業利益で800億円の収益貢献を見込んでいたが、これをゼロへと見直した。米鋼材市況の悪化や関税による買い控え、寒波による輸送への影響などが重なった。
来期は12カ月間フルでUSスチールを連結する。アーカンソー州にあるビッグリバー製鉄所の電炉「ビッグリバー2」が本格稼働することが寄与するほか、「設備投資効果、日鉄からの人員派遣による技術導入で改善を積み上げている」と述べた。
米国の市況悪化に大きく影響を受けたUSスチールは「過少投資に起因する、変動費中心の高コスト体質が最大の課題だ」と説明。日鉄はV字回復を果たした日本国内でも高付加価値製品を増やす取り組みを進めたが、米国でも同様の投資を4年間やり切れば「品質、コスト競争力が飛躍的に上げられる。かなり確度が高い」と自信を示した。
日本では減少する需要に対応して高炉の閉鎖など能力削減にも踏み切ったが、米国は需要が増加しており「能力削減や人員削減をする必要はない。設備の新鋭化を進め、高級鋼をしっかり、安く作れるようにすれば、同じような収益力となる」とした。「米国は世界最大の高級鋼市場であり、中国の影響を受けにくい、長期的に成長ポテンシャルがある」との見方を改めて示した。
USスチール買収時のつなぎ融資2兆円のうち、劣後ローンなどですでに調達した7000億円を除き、1兆3000億円の借り換え期限を6月に迎える。岩井CFOは「金利条件も変化している。マーケットも見極め、財務規律も勘案して、総合的に検討していく」と述べた。
金利が上昇していることによる経営への影響については「固定金利が多く支払金利への影響は限定的」とした。ただ、USスチールを買収したことで、金利負担は増えており「借り入れ金を圧縮していかなければならない」と述べた。
*18日にインタビューしました。
(清水律子、大林優香 編集:久保信博)





