ニュース速報
ビジネス

インタビュー:中立金利想定は1.2―2.8%、早ければ7月利上げ=左三川JCER室長

2025年02月19日(水)14時40分

  2月19日、日本経済研究センター(JCER)の左三川郁子・金融研究室長兼首席研究員はロイターのインタビューに応じ、緩和でも引き締めでもない中立金利を1.2%から2.8%と想定していると述べた。日銀が早ければ7月に利上げする可能性にも言及した。写真は日銀本店。1月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Takaya Yamaguchi

[東京 19日 ロイター] - 日本経済研究センター(JCER)の左三川郁子・金融研究室長兼首席研究員は19日にロイターのインタビューに応じ、緩和でも引き締めでもない中立金利を1.2%から2.8%と想定していると述べた。日銀が早ければ7月に利上げする可能性にも言及した。

経済環境を巡り、左三川氏は「今春闘の状況はいい。賃金引き上げのモメンタムは昨年以上に強い」と述べた。

さらに「生鮮食品を含む食料品の値上がりが急激で、消費者物価(総合)の上昇は一時的ではない印象がある」と指摘。「市場関係者の予想は当初、秋ぐらいの声が多かった。私もそう考えていたが、早ければ7月の展望リポートをみて、(日銀は)0.75%への利上げを判断する可能性がある」と語った。

中立金利については「1.2%から2.8%程度と想定される」とし、0.75%への利上げ判断の際も「金融緩和の度合いを調整する、とする(日銀側の)説明は変わらないだろう」と述べた。

政策金利1%への引き上げに向けては「賃金・物価の好循環の実現度合いや民間の資金需要、米金融政策の行方、為替レートを見極めながら総合的に判断していくことになる」との見通しを示した。

一方、0.75%という水準は1990年代後半まで遡ることになるため、「次の利上げに向けては慎重な判断が求められそうで、0.75%でいったん打ち止め感がでる可能性もある」と語った。

<ETF売却に伴う影響警戒>

量的引き締め(QT)に関しては「(国債の)償還が買い入れ額を上回っているので、買い入れは昨年の第1四半期からネットでマイナスが続いている」との見方を示した。

その上で「QTの定義をかりに国債保有残高の減少とするのであれば、国債の残高だけみればすでにQTになっている」と指摘した。

日銀が保有する上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の扱いに関しては「国債とは異なり、日銀保有のETF、J―REITには満期がない。個別性があるかどうかでETFとREITは性質が異なる」とし、「ETFは時価ベースで70兆円ある。これを売却するアナウンスメントが市場にどう影響するかは警戒している」と述べた。

左三川氏は「国債の買い入れ減額(事実上のQT)が進んでいる段階でアナウンスをしたときに、長期金利にどう影響するかが不透明」とも言及。「国債買い入れ減額に加えてETFの売却となると、どっちの影響なのかも見極めづらくなる。600兆円弱ある国債減額の道筋をつけたあとでないと、議論を進めにくい」と語った。

今後利上げを続ければ、日銀の財務状況が下押しされる懸念もある。

左三川氏は「年間1兆円を超えるETFの分配金が助けになってくれる側面もある。J―REITは、ETFに比べて個別銘柄の保有割合が高く、民間の資源配分に影響を及ぼしている」とし、出口を考えるならJ-REITが先になるのではないか」とした。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

OPECプラス有志国、3月の据え置き方針維持か 2

ワールド

インドネシア中銀理事に大統領のおい、議会委員会が指

ビジネス

欧州委、XのAI「Grok」を調査 性的画像生成巡

ワールド

カナダ首相、3月初旬にインド訪問か 貿易多様化を推
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 7
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中