ニュース速報
ビジネス

英中銀、4年5カ月ぶり利下げ 5対4の決定 総裁「今後は慎重」

2024年08月02日(金)01時06分

イングランド銀行(中央銀行)は1日、政策金利を16年ぶり高水準から0.25%引き下げ5.00%とした。中銀本部前で7月撮影。(2024年 ロイター/Maja Smiejkowska/File Photo)

Andy Bruce Suban Abdulla David Milliken

[ロンドン 1日 ロイター] - イングランド銀行(中央銀行)は1日、政策金利を16年ぶり高水準から0.25%引き下げ5.00%とした。インフレ圧力が十分緩和されたか意見が分かれ、5対4での決定となった。

ベイリー総裁は、今後は慎重に動くとし、急速な利下げを確約しているわけではないと強調。「インフレが低水準にとどまることを確認し、早すぎたり幅が大きすぎる引き下げにならないよう注意する必要がある」と声明で述べた。    

今回の決定はロイターのエコノミスト調査の予想通りだったが、金融市場は利下げの可能性を60%強とみていた。

金利はほぼ1年間据え置かれており、イングランド銀の引き締めサイクルピークでの据え置き期間としては2001年以来最長だった。利下げはコロナ禍が始まった2020年3月以来となる。

今回の議事録では、利下げ決定が一部委員にとって「微妙なバランス」と指摘。これは、7対2で金利据え置きを決定した6月と同じ表現だった。

利下げを支持したのは、前回も賛成していたラムスデン副総裁とディングラ委員のほか、ベイリー総裁、ブリーデン副総裁、ロンバルデリ副総裁だった。

ベイリー総裁は、中銀は会合ごとに金利に関する決定を下していくと表明。ただ、市場では年内に追加利下げが実施されるとの見方が出ており、市場が見込む次回9月の会合での追加利下げの可能性は約55%となっている。

<インフレ見通し>

英国の消費者物価上昇率は、22年10月に11.1%と41年ぶり高水準となったがその後低下、5月には中銀目標の2%に戻り、6月も同水準を維持した。

しかしイングランド銀は、昨年のエネルギー価格下落の影響が薄れるにつれて総合インフレ率は今年第4・四半期には2.75%まで上昇、26年初めには目標の2%に戻り、その後は2%を下回ると予想している。

金利がインフレ率に影響を与えるまでのタイムラグが長いため、中期的インフレ要因として中銀はサービス価格、賃金の伸び、総合な労働市場の逼迫に注目している。

6月のサービスインフレは中銀予想を大幅に上回ったが、「振れやすい構成項目」と、高水準だった今年初めの総合インフレ率の影響を受けた調整価格によるものと中銀は指摘した。

今年の経済成長率は1.25%程度と予想、上半期が予想を上回る成長となったことを受けて、前回予想の0.5%から上方修正した。

高金利が引き続き成長を圧迫するため失業率は若干上昇し、インフレ上昇圧力は弱まるとの見通しを示した。

しかし、インフレ圧力がより持続的となり、インフレ率が目標を上回る状態がメイン予想よりも長期化するリスクがあるの見方も示した。

今回の予想は26年末までに金利が約3.7%まで低下するという市場予想に基づいている。

<債券売却>

イングランド銀は来月、2009ー2020年に積み上げた債券保有について、年間1000億ポンド規模の削減を継続するかどうかも決定する必要がある。

今回に発表された報告で、これらの債券売却が国債市場に与えた影響は限定的で、将来的に影響が拡大した場合には金利水準が高いため金融政策を微調整する余地があるとの評価を維持。

10年国債利回りが22年2月から24年6月まで2.75%ポイント上昇したが、債券売却はこれに0.1ー0.2%ポイント寄与したとの推計を示した。

ラムスデン副総裁は政策決定会合後の記者会見で、金利が低下しても、向こう1年は債券売却プログラムを継続できるとの考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EUの「ドローンの壁」構想、欧州全域に拡大へ=関係

ビジネス

ロシアの石油輸出収入、9月も減少 無人機攻撃で処理

ワールド

イスラエル軍がガザで発砲、少なくとも6人死亡

ビジネス

日銀、ETFの売却開始へ信託銀を公募 11月に入札
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 8
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中