ニュース速報
ビジネス

アングル:国債入札の不調止まらず、日銀の早期政策正常化に身構え

2024年01月26日(金)18時57分

 1月26日、国債入札の不調に歯止めがかからない。写真は、日銀旧館の全景。2023年9月20日に撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Tomo Uetake

[東京 26日 ロイター] - 国債入札の不調に歯止めがかからない。1月はここまで5回の利付国債入札があったが、結果は「全滅」だ。背景には日銀の早期政策正常化に対する投資家の警戒感があり、目先は不調が続くリスクも意識されている。

1月に入って行われた10年、30年、5年、20年、40年の入札は、いずれも投資家の需要不足により低調な結果となり、市場では「1月はここまで黒星続き、全敗だ」(国内証券アナリスト)と、落胆の声が聞かれる。

今週は、22─23日開催の日銀政策決定会合と植田和男総裁の会見を受けて3─4月にもマイナス金利が解除されるとの観測が広がった。国債市場では、金利先高観の強まりを背景に売り圧力が強まった。

中でも30年債や40年債は利回りが3カ月ぶりの高水準に上昇するなど、イールドカーブ上では超長期債の割安化が顕著だが、なお投資家の買いの手は鈍い。

30年債の主要投資家は生命保険会社や年金基金だ。負債コストとの見合いで投資を行う生保勢にとって2%弱の利回り水準は投資可能なラインとみられるなか、足元の利回りは1.8%台半ばまで上昇。だが、ある大手生保の運用担当者は「この先、まだ上がるのだとしたら、今あわてて買う必要はない」と静観の構えを崩さない。

財務省が25日に実施した40年国債入札は、比較的波乱が起きにくい「イールドダッチ方式」だったにもかかわらず、応札倍率が12年半ぶりの低さを記録する低調な結果に終わり、市場参加者からは驚きの声が上がった。

<入札環境は2006年の利上げ時を想起>

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「2006年の利上げ局面をほうふつとさせる」と話す。

日銀は06年3月の政策会合で量的緩和解除を決定。同年7月には短期金利の誘導目標を0.25%に引き上げ(ゼロ金利の解除)、07年2月に0.5%への利上げを実施したが「当時は利上げの過程で、半年程度、入札不調が続いたと記憶している」という。金利先高観が買い手控えにつながった点が、今回の入札不調と共通している。

投資家が慎重姿勢を崩さないのは、1月会合終了後の記者会見での植田総裁の発言が背景にある。

展望リポートで2%の物価目標の実現への「確度は少しずつ高まっている」と記したことに加え、総裁が会見で具体的に根拠を説明したことが、マイナス金利解除の時期が近付いていることを投資家に意識させた。

さらにマイナス金利解除後の政策姿勢に関して「大きな不連続性が発生するようなことは避ける」とした発言では、緩和政策からの不連続性を避ける趣旨との受け止めが多いが、一部ではマイナス金利解除後にプラス金利への連続利上げも視野に入れているのでは、との憶測も招いたようだ。

国債入札は来週、2年債と10年債が予定されている。日銀の政策修正観測が市場で根強い状況には変わりがなく、楽観視する向きは少ない。「買い手不在」を背景に、利付国債入札の連続不調記録が続く可能性が意識されている。

(植竹知子 編集:平田紀之)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイのアヌティン首相再選、政治的な安定に期待感

ビジネス

台湾中銀、金利据え置き 成長見通し大幅引き上げ

ビジネス

スイス中銀、政策金利ゼロに据え置き 過度なフラン高

ビジネス

米利下げ9月以降、モルガンSも予想修正 利下げなし
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 10
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中