ニュース速報
ビジネス

12月ロイター企業調査:株式上場、多くがメリット実感も「以前より負荷」も8割超

2023年12月07日(木)10時03分

12月のロイター企業調査では、株式の上場は企業にとって人材採用や社会的地位を証明する上でメリットがある一方、8割超が以前に比べて上場を維持することに負担を感じていることが分かった。写真は都内の株価ボード。2017年9月撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

Kentaro Sugiyama

[東京 7日 ロイター] - 12月のロイター企業調査では、株式の上場は企業にとって人材採用や社会的地位を証明する上でメリットがある一方、8割超が以前に比べて上場を維持することに負担を感じていることが分かった。開示項目の増加や東京証券取引所の資本コスト改善要請などが主な理由。約3割は、最近になって上場の意義を問い直したと回答した。

調査は11月21日─12月1日。調査票発送企業は501社、回答社数は240社だった。

今回の調査では、株式上場の意義や、東証の改革要請を受けた状況の変化などについて質問した。

上場していると答えた企業は161社。上場においては7─8割の会社が、人材採用や企業としてのステータス確保にメリットを感じている(複数回答可)と回答した。一方、上場していることの負担を感じているかどうかとの質問には、85%が「以前より感じている」と答えた。その理由として、8割超が開示項目の拡大、6割超から7割近くが東証による資本コスト改善の要請や株主対応(同)を挙げた。

東証は上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営を実践するよう要請しており、来年1月から要請に基づいて開示を行っている企業の一覧表を公表する。

2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂では、プライム市場の上場会社について、開示書類のうち必要な情報について英文での開示・提供を行うべきとされるなど、海外投資家を意識した対応も一段と求められるようになった。

上場の意義を問い直したことがあるかとの質問に対し、多くが「ない」と答えた。その一方で「ある」との回答も3割あり、そのうち3割が非公開化も検討したことがあるとした。

実際、上場維持の負担を減らしつつ、経営の自由度確保や中長期的な視点での経営を目的に株式を非公開化するケースも増えてきた。今年11月、ベネッセホールディングス、大正製薬ホールディングスが立て続けにMBO(経営陣が参加する買収)を発表したが、大正製薬は背景を「株式上場を継続する限り短期的な利益確保や分配への配慮が必要で、中長期的な施策実行の足かせとなる可能性が高い」と説明した。

(杉山健太郎 グラフィック作成:照井裕子 編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 5

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 6

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 7

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 8

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 9

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 6

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 9

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中