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マイナス金利解除、物価上振れの可能性高い時の対応=高田日銀委員

2023年09月06日(水)15時51分

 9月6日、日銀の高田創審議委員は、山口県金融経済懇談会後の記者会見で、マイナス金利の解除は物価が上振れする可能性が高い状況にすべきもので、現状はまだ「それなりの距離がある」と述べた。写真は2022年6月、日銀本店で撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[下関市(山口県) 6日 ロイター] - 日銀の高田創審議委員は6日、山口県金融経済懇談会後の記者会見で、マイナス金利の解除は物価が上振れする可能性が高い状況にすべきもので、現状では「それなりの距離がある」と述べた。物価見通しには若干の上振れリスクがあるものの、底上げされた予想物価上昇率の持続性には不確実性があると語った。足元で進む円安については、日銀の金融政策より米国経済など海外の要因が影響しているとの見方を示した。

午前のあいさつでは、資源高・賃金上昇の2つの段階に分けて企業の賃金・物価の設定行動に変化の「兆しが生じている」とし、さらにベア上昇による予想物価上昇率の上昇も反映されて基調的な物価上昇率にも変化の「芽」が生じていると述べていた。

会見では、予想物価上昇率の持続性の点においては、来年の春闘を含めこれから1年間程度は見極めが必要だと語った。

7月のイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化については、リスク管理の一環だったと説明。多様なリスクに対して「常にさまざまな選択肢で対応していく」と話した。

<中国経済減速、影響の広がりを注視>

高田委員は、為替の水準には言及を控えた。YCC運用柔軟化後も円安に振れていることについて、為替への影響は「日本国内より海外要因の方が大きい」とし、特に米景気の想定以上の強さが影響を及ぼしているとの見方を示した。

中国経済の減速感が強まっていることについては、世界経済や金融システムへの影響の広がりを見極めることが重要だと指摘。現時点では「そこまでの状況とは感じていない」と述べた。

(和田崇彦 編集:田中志保)

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