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EU・ECB、金融安定強調で懸念払拭に腐心 首脳会議2日目

3月24日、欧州中央銀行(ECB)は24日、スイスと米国の銀行が招いた市場の混乱を踏まえ、欧州連合(EU)首脳にユーロ圏の銀行の安全性を強調するとともに、域内共通の預金保険制度推進を呼びかける見通し。写真はECBの看板。フランクフルトで昨年7月撮影(2023年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[ブリュッセル 24日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳と欧州中央銀行(ECB)は24日、銀行セクターに関する統一見解を示し、域内金融機関は十分な資本と流動性を有していると述べ、市場の動揺の鎮静化に努めた。
EU首脳はこの日まで開催した首脳会議後に声明を発表。「域内の銀行セクターは強固な資本と流動性を持ち、耐性がある」と指摘した。
しかしこの日もドイツ銀行やUBSを始めとする銀行株は急落。市場の懸念払拭には至らなかった。
オランダのルッテ首相は、ユーロ圏の銀行セクターは10年前よりもはるかに強固になっているとし、域内で新たな銀行危機が発生する可能性は極めて低いと述べた。
ドイツのショルツ首相も、国内最大手のドイツ銀に対する市場の懸念払拭に努め、「ドイツ銀は、ビジネスモデルを根本的に刷新し再編成した。非常に収益性の高い銀行であり、懸念する理由はない」と語った。
欧州中央銀行(ECB)は首脳会議で、スイスと米国の銀行が招いた市場の混乱を踏まえ、欧州連合(EU)首脳にユーロ圏の銀行の安全性を強調するとともに、域内共通の預金保険制度推進を呼びかけた。複数の関係者が明らかにした。
EU首脳会談の2日目の討議では財政・債務ルールの変更を含む経済問題が主な議題となり、クレディ・スイスと米シリコンバレー銀行の問題が域内銀行システムに与える影響を巡る懸念が焦点だった。
関係筋によると、ラガルドECB総裁はEU首脳らに対し、ユーロ圏の銀行は資本状態が良好で流動性が高いため耐性がある上、必要な場合はECBが流動性を提供できると語った。
また、「世界金融危機後に国際的に合意された規制改革を全ての銀行セクターに適用しているため、ユーロ圏の銀行セクターは強固だ」とし、ECBの「ツールキット」は、必要な場合にシステムに流動性を供給するため完全に準備が整っていると言明した。
その上で、「最近の出来事は、規制基準を継続的に改善することがいかに重要であるかを思い起こさせる」と指摘。2012年に開始された銀行同盟プロジェクトは、依然として域内共通の銀行預金保護制度である欧州預金保険スキーム(EDIS)の導入にまでは至っていないため、この完成に向けた着実な進展を呼びかけた。
一方、金融セクターの混乱下でもインフレ抑制に向けたECBの利上げを擁護し、インフレ対策と銀行セクターの安定化の間にトレードオフの関係はないと指摘。「ECBは両方のリスクに対処する手段を有している」と発言した。
フランスのマクロン大統領もこれを支持。記者団に対し、金利の正常化は銀行システムにとって脅威ではないと述べた。