ニュース速報

ビジネス

カナダ中銀、物価高止まりに伴う追加利上げに含み=議事要旨

2023年03月23日(木)09時15分

 3月22日、カナダ銀行(中央銀行)は、物価高止まりに伴って追加利上げが必要になる可能性を引き続き想定していることが、公表された直近会合の議事要旨で明らかになった。オタワのカナダ銀行前で1028年7月撮影(2023年 ロイター/Chris Wattie)

[オタワ 22日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は、物価高止まりに伴って追加利上げが必要になる可能性を引き続き想定していることが、22日公表された直近会合の議事要旨で明らかになった。

中銀は8日の会合で政策金利を4.50%に据え置き、主要中央銀行で最初に利上げサイクルの停止を決定。議事要旨によると、5人の政策委員全員が景気減速と物価が今後下振れるとの見通しを理由に、政策金利を現状にとどめて、これまでの利上げの効果を見極めることに同意した。

物価上昇率が想定通りに鈍化していく限り、追加利上げは見送るというのが中銀の方針だ。1月の段階では具体的に、物価上昇率が年央に3%まで、来年には2%まで減速していくと見込んでいた。過去1年で中銀は計425ベーシスポイント(bp)の利上げを実施し、昨年一時8.1%まで跳ね上がった消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は今年2月に5.2%となった。

ただ議事要旨からは、8日の会合でサービス価格の上昇が根強いことが話題となり、物価上昇率が目標の2%を超えたまま、しつこく高水準で推移し続けるリスクを政策委員がなお懸念していたことが分かった。

キャピタル・エコノミクスの北米副チーフエコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「中銀が追加利上げを完全に否定できるようになるには、予想物価の下振れと賃金上昇圧力の弱まりを確認できるさらなる材料が必要だ」と指摘した。

一方で8日の会合以降、事態が急速に変わった面もある。米国の銀行破綻や欧州の大手銀行の経営不安を受け、政策金利を引き上げ過ぎれば金融システム不安を助長しかねないため、カナダでも金利据え置き継続の妥当性が高まっているからだ。

短期金融市場は8日時点で9月までに追加利上げがあると見込んでいたが、足元では7月までに利下げが行われる展開を予想している。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム、模倣品・海賊版対策を強化 米国からの関税

ビジネス

日経平均は3万8000円回復、米中摩擦懸念後退 買

ビジネス

ソフトバンクG、1―3月期純利益5171億円 通期

ビジネス

ホンダ、EV供給体制の検討2年程度延期 北米市場向
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中