ニュース速報

ビジネス

ECB総裁、一段の追加利上げ示唆 ユーロ圏インフレ「ピークまだ」

2022年11月29日(火)03時20分

ラガルドECB総裁はユーロ圏のインフレはピークに達しておらず、現時点の見通しより一段と上昇するリスクがあるという認識を示し、一連の追加利上げ実施の可能性を示唆した。28日 、ブリュッセルで撮影(2022年 ロイター/Johanna Geron)

[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は28日、ユーロ圏のインフレはピークに達しておらず、現時点の見通しより一段と上昇するリスクがあるという認識を示し、一連の追加利上げ実施の可能性を示唆した。

ラガルド総裁は欧州議会で「インフレがピークに達し、すぐに低下することを示す要素や方向性は見られていない」とし、ECBのエコノミストは引き続き明確な「上向き」リスクを確認していると語った。

ECB理事会メンバーのクノット・オランダ中央銀行総裁も28日、インフレ対策の金融引き締めが不十分になるリスクがあるとの見解を示し、ECBの将来の利上げの道筋が緩やかになるという期待への冷水となる可能性がある。

タカ派として知られるクノット総裁は「私の懸念事項は依然としてインフレ、インフレ、インフレだ」とし「われわれのインフレ見通しに明確な上振れリスクがある限り、対策が過剰になるリスクよりも不足するリスクの方が明らかに大きい。まだ早い段階で断念し、早すぎる勝利を宣言することがあってはならない」と述べた。

また、「引き締めすぎ」に対する懸念は「ジョーク」という考えも示した。

パネッタECB専務理事は最近、ECBは利上げを継続しなければならないが、過度な引き締めは生産能力を破壊しリセッションを深刻化させる可能性があり、避ける必要があると述べていた。

10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値は、前年比上昇率が10.6%だった。11月については、エコノミストは10.4%への若干の鈍化を予想している。

市場では、12月15日のECB理事会での動きについて、0.50%ポイント、もしくは0.75%ポイント利上げかで予想が分かれている。

ラガルド総裁は、将来的な利上げの規模と回数に対する自身の姿勢を明確にせず、「今後どの程度の利上げが必要で、どの程度のスピードが必要かは、最新の見通し、ショックの持続性、賃金とインフレ期待の反応、政策スタンスの伝達に関する評価に基づいて決定される」と語った。

さらに、将来について過度な憶測は避けたいとしつつも、「利上げを継続する必要があるのは明白で、われわれはまだ道半ばだ」と述べた。

ロイターの調査によると、ユーロ圏インフレ率は今年8.5%に上昇した後、来年は6.0%、2024年は2.3%に低下し、25年にはECBの目標である2%に回帰するとみられている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ステファニク下院議員、NY州知事選出馬を表明 トラ

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ

ワールド

イラン大統領「平和望むが屈辱は受け入れず」、核・ミ

ワールド

米雇用統計、異例の2カ月連続公表見送り 10月分は
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中