ニュース速報

ビジネス

中途半端な政策変更、好循環妨げ望ましくない=10月日銀会合意見

2022年11月08日(火)09時42分

 日銀が10月27―28日に開いた金融政策決定会合で、物価目標を持続的・安定的に達成する上で「中途半端な政策の変更は物価と賃金の好循環を妨げるリスクがあり、望ましくない」との意見が出ていたことが分かった。都内で6月17日撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 8日 ロイター] - 日銀が10月27―28日に開いた金融政策決定会合で、物価目標を持続的・安定的に達成する上で「中途半端な政策の変更は物価と賃金の好循環を妨げるリスクがあり、望ましくない」との意見が出ていたことが分かった。

日銀が8日、会合で出された主な意見を公表した。同会合では金融政策の現状維持を全員一致で決めた。企業業績が高水準で推移し、賃金上昇の動きが見られていることを踏まえ「日本経済には好循環の兆しが出てきている」として、当面の金融政策運営は現状維持が適当だとの声が出ていた。

同会合で取りまとめた「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の見通しを前年度比プラス2.3%からプラス2.9%に引き上げた。23年度、24年度も引き上げたものの、2%には届かなかった。

会合では「今年度は物価上昇に広がりが見られ、上振れる可能性もあるが、今後の持続性にはまだ確信が持てない」との指摘が出た。その一方で、ディスインフレが長年続いた後の物価上昇局面であり、グローバル化の逆回転など構造的変化もあるとして「過去の経験がそのまま当てはまらず、物価が大きく上振れするリスクも否定できない」との声が上がった。

金融緩和の副作用や出口戦略に関する発言も見られた。ある委員は「金融政策を直ちに変更する必要はないが、副作用に目を配るとともに、物価高が家計の行動や賃金にどのような影響を与えるのか、謙虚に予断なく検証していく必要がある」と話した。

将来の出口戦略が市場にどのような影響を与えるのか、市場参加者の備えが十分なのか、確認を続けることも重要だとの意見も聞かれた。

(和田崇彦)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米巨大テック、AI製品巡りEU当局と連携 データ保

ワールド

中国軍事演習、開戦ではなく威嚇が目的 台湾当局が分

ワールド

ベトナム輸出、5月は前年比15.8%増 電子機器と

ビジネス

午前の日経平均は小幅続落、国内金利の上昇基調を嫌気
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中