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欧州の生産性、コロナで伸び加速 今後は低下の恐れ=ECB調査
10日公表された欧州中央銀行(ECB)の調査によると、ユーロ圏の労働生産性は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生時に企業がデジタル技術の採用を急いだことから大幅に向上したものの、そのうちの大部分は失われる可能性がある。写真はデュイスブルクの製鉄工場で2019年1月撮影(2021年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[フランクフルト 10日 ロイター] - 10日公表された欧州中央銀行(ECB)の調査によると、ユーロ圏の労働生産性は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生時に企業がデジタル技術の採用を急いだことから大幅に向上したものの、そのうちの大部分は失われる可能性がある。
欧州の生産性はここ数年低迷し、全般的な経済成長の足かせとなってきた。そのため、一部のエコノミストはデジタル技術の普及がパンデミックのプラス面になることに期待を寄せている。
調査によると、これまでのところ効果が見られており、労働生産性は回復局面の初期以降、幾分低下しているものの、現在は2019年第4・四半期の水準を2%超上回っている。
ECBは「パンデミック危機は、かなり以前からすでに始まっていたデジタル化の流れを加速させた」と指摘。「リモートワークへのシフトは時間とともにある程度逆戻りするかもしれないが、一部では持続する見通しで、生産性や従業員の福利といった面で大きな利益をもたらす可能性がある」とした。
ただ、リスクがないわけではない。
他の危機とは異なり、今回の危機では政府保証によって企業が存続し、生産性の低い企業の大量撤退につながっておらず、通常の「創造的破壊」プロセスが停止しているという。
コロナ禍で進んだ生産性のより高い部門への労働力の再配分も逆行する可能性がある。
ECBによると、ウイルス対策によって企業が対面での多くのやり取りの停止を余儀なくされ、生産性の低いタスクから労働力の再配分が進んだことが、生産性の伸びに30─40%程度寄与した。
「部門の再配分による効果がどの程度持続するかは明らかではないが、21年第2・四半期にはすでに薄れつつあるようで、この状況は規制緩和が進むにつれ、加速する可能性がある」という。