ニュース速報

ビジネス

11月ロイター企業調査:足元の円安、3割が減益要因 原料高で業績圧迫

2021年11月11日(木)10時38分

 11月のロイター企業調査によると、為替市場でドルが113円ー114円台で推移した場合、業績にどのような影響を与えるか聞いたところ、「減益要因」と回答した企業が約3割と、「増益要因」とした回答を上回った。2017年6月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 11日 ロイター] - 11月のロイター企業調査によると、為替市場でドルが113円ー114円台で推移した場合、業績にどのような影響を与えるか聞いたところ、「減益要因」と回答した企業が約3割と、「増益要因」とした回答を上回った。円安が必ずしもプラスに作用しない現状が明らかになった。

また、原材料価格の上昇が今年度の業績を圧迫する要因になり得ると8割近くの企業がみており、更なる円安や原油高が続けば企業経営は苦しい状況に陥る可能性がある。

調査期間は10月26日から11月5日まで。発送社数は502社、回答社数は248社だった。

ドルは足元113円近辺で推移しているが、先月、一時114円台後半まで上昇し、2017年11月以来の高値圏を記録した。ドルが113円から114円台で推移した場合、33%が「減益要因」、23%が「増益要因」と回答し、「影響はない」とした企業は44%だった。

企業の中には、「輸入コストが高騰するため収益を圧迫する」(食品)との声があり、同様の回答は化学製品や運輸などでも見られた。また「為替差損」が発生し減益要因になると回答した企業は輸送用機械や卸売りなどでもあった。

一方、足元の円安が業績に「影響はない」と回答した企業でも、小売りやサービスなどは、「インバウンド消費が未回復の現状ではあまり影響がない」といった状況で、経済活動の回復の鈍さがうかがえる。ある情報サービス企業は、「業績低迷のため、海外との取引を凍結している」 とのコメントを寄せた。

ドル/円で「悪い円安」は何円以上かとの問いに、最も多かったのは「120円以上」で44%、次に「115円以上」で21%と続く。「110円以上」は13%で、「125円以上」と「130円以上」はそれぞれ11%だった。

<原材料高で業績圧迫リスク>

原材料価格の上昇が、今年度の業績を圧迫する要因になり得るとみている企業は79%となり、前回7月調査時点での67%から上昇した。原材料価格の上昇を、自社の販売価格に転嫁できているかとの問いに対し、「転嫁できていない」は47%となり、前回の39%から上昇した。

回答社の中には、「少し前の好景気時であれば、価格に転嫁できていたが今の状況では難しい」(運輸)といったコメントや、「内需の減速につながる」(輸送用機器)といった懸念の声があった。

(金子かおり グラフィック作成:照井裕子)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中