ニュース速報

ビジネス

米失業保険申請41.1万件、予想ほど改善せず 求職の鈍りが雇用妨げ

2021年06月25日(金)04時04分

6月24日、 米労働省がに発表した6月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は41万1000件と、前週の41万8000件から改善する一方、市場予想の38万件には至らなかった。経済再開に伴い労働市場は回復に向かっているものの、求職が鈍っていることから、雇用の伸びは短期的に加速しづらいもようだ。写真は2009年3月、ニューヨーク市で撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)

[ワシントン 24日 ロイター] - 米労働省が24日に発表した6月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は41万1000件と、前週の41万8000件から改善する一方、市場予想の38万件には至らなかった。経済再開に伴い労働市場は回復に向かっているものの、求職が鈍っていることから、雇用の伸びは短期的に加速しづらいもようだ。

前週は4月下旬以降で初めて悪化していた。これについてBofA証券のアナリストらは「5月下旬のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の連休前後に絡む不正確な季節要因が新規失業保険申請件数の増加に寄与したと考えられ、この増加は一時的なものにとどまる」との見方を示した。

当該週は、ペンシルベニア州で申請件数が急増する一方、カリフォルニア州、フロリダ州、イリノイ州では目立って減少した。全体の継続受給件数は6月12日までの1週間で14万人減の339万件だった。

求職が伸びない理由としては手厚い失業手当も一因と考えられている。アイオワ州やミシシッピ州など12州では、失業給付を週300ドル加算する特例措置がすでに打ち切られており、テキサス州やジョージア州など他の13州でも6月26日─7月10日にかけて同様に打ち切られる予定だ。

ロイターが5月1日から6月12日までの週に発表された新規失業保険申請件数のデータを分析したところ、失業給付に関する特例措置の早期打ち切りを決めた26州の継続受給件数は17.8%減の99万件だった一方、それ以外の州では12.6%減の218万件だった。

ただ、中小企業向けのシフト管理ソフトを手掛けるホームベースがまとめた20日までの週のデータによると、特例措置の終了を決めた州の雇用は回復していない一方、カリフォルニア州やニューヨーク州など他の州ではパンデミック(世界的大流行)を巡る規制措置の解除に伴い雇用が増加しているという。

また、特例措置の終了を決めた州は失業率がパンデミック前の水準に近づいており、改善の余地が乏しいことが示唆されているという。

ジェフリーズのエコノミスト、トーマス・シモンズ氏は、今回のデータは全体的に見て「新規失業保険申請件数および継続受給件数の減少が今後数週間にわたり加速することを示唆している」と述べた。

雇用環境を巡っては、保育施設の不足で主に女性が働きに出づらいほか、コロナ感染を恐れて職場復帰をためらったり、コロナ禍をきっかけに退職や転職を決断した人もいる。

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「労働市場の回復が時間とともに進むと考えられる一方、申請件数は様々な要因によって影響を受ける可能性がある」と指摘。「一部州では給付プログラムの削減を開始し、今後数週間でさらに多くの州が追従することから、統計のノイズは増える」と予想した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中