ニュース速報

ビジネス

NZ中銀、刺激策の解除急がず=ホークスビー総裁補

2021年03月02日(火)14時16分

 ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)のホークスビー総裁補は2日、景気刺激策の解除や金融政策の引き締めを中銀は急いでいないと強調した。2016年3月、ウェリントンで撮影(2021年 ロイター/Rebecca Howard)

[ウェリントン 2日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)のホークスビー総裁補は2日、景気刺激策の解除や金融政策の引き締めを中銀は急いでいないと強調した。ロイターとのインタビューで述べた。

総裁補はインタビューで「市場は中銀に先取りすることに熱心だが、フライングするのは不可避で、債券市場で現在見られるボラティリティーの一因になっている」と指摘。

その上で「中銀として忍耐強く対応し、刺激策の解除を急いでいないことを市場に継続的に再認識させるのがわれわれのアプローチだ」と述べた。

ニュージーランドは新型コロナウイルスの封じ込めにおおむね成功し、他の大半の国よりも早くリセッション(景気後退)から脱却。インフレ率や雇用、企業信頼感も予想を上回っており、政策が想定よりも早期に引き締められるのではないかとの観測が広がっている。

10年物のNZ国債利回りは先週、週間で2013年半ば以来の大幅な上昇となり、NZドルは3年半ぶりの水準に上昇した。

NZ中銀は先週、政策金利を据え置き、緩和的な政策を長期間維持する方針を示した。

総裁補は、ニュージーランドの景気回復は素晴らしいとしつつ「なお苦戦している地域やセクターもある」と付け加えた。

総裁補は、世界の中銀は大規模な刺激策を長期維持することを望んでいるとの見方を示した。NZ中銀のオア総裁も先週、政策引き締めを急ぎ過ぎれば、成長が抑制されかねないと述べている。

その上で総裁補は「インフレ率は過去10年間、中銀の目標を下回っている」と指摘した。

NZ政府は先週、住宅価格の高騰抑制に向け、中銀の付託権限に住宅価格を追加。中銀は3月1日から、住宅ローンのローン資産価値比率(LVR)規制を再導入した。

ホークスビー総裁補は、LVR規制によって住宅需要は抑制されるものの、大きな効果は生まない可能性があると指摘。「LVRによる住宅市場への影響は限定的になるだろう。潜在的な効果を過大視することは避けたい」と述べた。

NZ中銀は昨年3月に政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き下げた。また、新型コロナウイルスに伴うロックダウン(都市封鎖)で打撃を受けた経済を支えるため、1000億NZドルの大規模資産買い入れプログラム(LSAP)を導入している。

ホークスビー総裁補はLSAPについて、市場に影響を及ぼす手段を中銀に提供したが、これまでの買い入れによって中銀が国債の約40─50%を保有する状況になっていると指摘。「このため、このツールの今後の活用方法という点で余地は狭まっている」との認識を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、債券発行で計40億ユーロ調達 応募倍率25倍

ビジネス

英財務相、予算案に関する情報漏えい「許されず」

ワールド

中国外務省、英国議会からの情報収集「興味なし」

ワールド

水産物輸入停止報道、官房長官「中国政府から連絡を受
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中