ニュース速報

ビジネス

日本電産、営業利益予想を上方修正 巣ごもりで高付加価値品が伸長

2021年01月25日(月)19時00分

日本電産は25日、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)予想を前年比42.8%増の1550億円に上方修正したと発表した。写真は同社のロゴ、2018年7月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 25日 ロイター] - 日本電産は25日、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)予想を前年比42.8%増の1550億円に上方修正したと発表した。4―12月期の業績が想定を上回ったことを織り込んだ。4―12月期は、新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要や、省エネ化の流れを受けて高付加価値製品の販売が伸びたほか、原価改善・固定費適正化の取り組みも利益に寄与した。売上高は同期間で過去最高となった。

従来予想は1400億円。リフィニティブがまとめたアナリスト22人による営業利益予想の平均値は1482億円。

4―12月期の営業利益は前年同期比24.0%増の1155億円だった。売上高は前年同期比2.2%増の1兆1849億円で同期間の過去最高を更新。家電やIT関連、ゲーム機などの新規需要を取り込んだ。ノートPCなどに用いられる超薄型・超⼩型のファンモーターは3四半期連続で出荷が500万台を超えた。

会見した永守重信・会長兼最高経営責任者(CEO)は、省エネ化の流れを受けて低消費電力のモーターの需要が高まっていると説明。需要の拡大は一過性ではなく、コロナが収束しても「売り上げは落ちない」と語り、精密小型モーター事業は将来的に1兆円規模に拡大するとの見方を示した。

欧米での搬送用ロボット向けモーターやギア、家電向けコンプレッサー、第5世代(5G)通信網向け半導体検査装置などの増収も業績に寄与した。

一方、車載事業では電気自動車(EV)に用いられるトラクションモーターで将来の需要拡大を見越して先行開発費を継続して投じており、営業利益は前年同期比32.6%減だった。トラクションモーター以外の既存製品の利益は第1四半期を底に急回復しており、同事業の10―12月期の営業利益は前四半期比で64.9%増の76億円となった。

会見に同席した関潤社長は、中国政府が10月にガソリン車を35年までに全廃する方針を示して以降「急激に引き合いが増えている」と強調。従来は1四半期で引き合いの数は5―8だったところ「直近3カ月は新規で15の引き合いがある」という。

同社が普及の「分水嶺」とみる25年に向けた生産体制の整備について関社長は「目標達成の前倒しを実施している」と述べた。生産拡大でボトルネックになるような部品・設備を内製化し、外部に頼らない方針。永守会長は「(部品の内製のために)必要な技術を持つ会社を買収していく」との考えも示した。

*内容を追加しました。

(平田紀之)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

自民・維新が20日午後6時に連立政権成立で合意へ、

ワールド

中国レアアース磁石輸出、9月は6%減少 回復途切れ

ビジネス

中国新築住宅価格、9月は11カ月ぶり大幅下落 前月

ビジネス

中国GDP、第3四半期は前年比+4.8% 1年ぶり
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 6
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 7
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 8
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 9
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中