ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、1月は47.5に急低下 ロックダウンが影響

2021年01月22日(金)20時01分

1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が47.5となり、前月の49.1から大きく低下した。ロックダウン下の独フランクフルトでの郵便配達、21日撮影。(2021年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ロンドン 22日 ロイター] - IHSマークイットが発表した1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が47.5となり、前月の49.1から大きく低下した。新型コロナウイルス感染抑制のためのロックダウン(都市封鎖)でサービス部門が大きな打撃を受けた。

ロイター調査の予想は47.6だった。

欧州各国の大半で接客部門や娯楽部門が閉鎖を強いられたことで、サービス部門PMIが急低下。一方、ほぼ平常通りの操業が可能だった製造業部門は堅調だった。

●オックスフォード・エコノミクスのトマス・ドボラック氏は「新型コロナ感染率の上昇で各国は感染防止策の延長・強化を余儀なくされた。PMI速報値は今年第1・四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率がマイナスになる可能性を示唆している。パンデミック(世界的な大流行)が収まるまで大幅な景気回復があるとは予想していない」と述べた。

IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「新型コロナ感染抑制策が厳格化された影響で、ユーロ圏経済がW字型の不況に陥ることは避けられない見通しだ」と指摘。「ただ、昨年春の景気落ち込みよりも深刻度合いが低いことは救いだ。製造業部門は比較的持ちこたえており、輸出需要も増大しているほか、ロックダウン措置も平均的に見て昨年より厳しくない」とした。

サービス部門PMIは46.4から45.0に低下。市場予想は44.5だった。行動制限は当面続くとみられ、経済活動も縮小することから、企業は値下げを強いられている。価格指数は48.4から46.9に低下し、昨年6月以来の低水準を付けた。

一方、製造業PMIは55.2から54.7に低下したものの、景況の拡大・悪化の分かれ目となる50は大きく上回った。市場予想は54.5だった。

総合PMIに反映される生産指数は56.3から54.5に低下した。

ただ製造業各社は引き続き人員削減に動いており、雇用指数は49.2から48.9に低下した。

総合将来生産指数は約3年ぶり高水準だった64.5から63.6に低下したが、ワクチン接種の進展を受けて今後への楽観的見方は強まっている。

ウィリアムソン氏は「最近の新型コロナ感染者数増が楽観論をいくぶん後退させてはいるものの、ワクチン接種の進展が今後の見通しに対する自信を高水準に保っている」と述べた。

●一方、キャピタル・エコノミクスのジェシカ・ハインズ氏は「先行き見通しはワクチン接種の進展次第だ。すでに進捗が遅いワクチン接種が一段と遅れるようなことがあれば、景気回復が後ずれするだけだ」との見方を示した。

*エコノミストコメントを追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中