ニュース速報

ビジネス

アングル:人民元堅調、不安視する当局に「レッドライン」あるか

2021年01月16日(土)08時04分

 1月12日、中国人民元が今年のスタートを堅調に切ったことで当局が不安になっている。2017年5月撮影(2021年 ロイター)

[上海 12日 ロイター] - 中国人民元が今年のスタートを堅調に切ったことで当局が不安になっている。投資家は当局が人民元の急激・急速な動きを防ごうとするとの見方を強めている。

人民元の対ドル相場は今年初日の取引で1%上昇し、2年半ぶりの高値を付けた。また、中国人民銀行(中央銀行)がより緩やかな上昇ペースを望んでいることを示唆したにもかかわらず、先週は週間ベースで2カ月ぶりの大幅高となった。

スタンダード・チャータードのシニア中国エコノミスト、リー・ウェイ氏は、人民元高が輸出鈍化、金融環境の引き締めといったビジネスインパクトをを引き起こす可能性に言及。「当局は人民元を基本的に安定した水準に維持することに引き続き注力するだろう」と語った。

外為当局も先週、外為市場での無秩序な変動を回避すると表明した。

中国国営新華社が8日報じたところによると、中国人民銀行の易綱総裁は「人民元を合理的かつ均衡のとれた水準で基本的に安定させられるよう期待を誘導することに注力する」と述べた。

一部の投資家は、安定に向けた当局者のコミットメントにもかかわらず、相場は振れが大きくなると予想。上海桐昇通惠資産管理のジョシュ・シェン最高投資責任者(CIO)は「2021年の人民元は、20年の上昇一辺倒とは異なり、非常に不安定な動きになると思う」と話す。

人民元は2020年の取引を1ドル=6.5283元で終了。1年前からの上昇率は6.7%だった。先週序盤には6.4292元の高値を付け、その後は小幅に値を下げている。

スタンダード・チャータードのリー氏は、短期的に当局者にとっての「レッドライン(越えてはならない一線)」は6.4元とみる。この水準は2018年6月以来越えていない。ただ、上半期にドル安が続くとこの水準を突破する可能性がある。

一部アナリストとトレーダーは、当局は具体的な水準よりも変動ペースを気に掛ける公算が大きいと指摘。みずほ銀行のチーフ外為ストラテジスト、ケン・チュン氏は「今の当局の人民元管理方法はA株と似ている。概して、政策当局者は人民元の緩やかな強気トレンドを促進したいと考えている」と語った。

規制当局にとって難しいのは、ドルが下落する中、人民元が引き続き上昇するとの期待が広がっていることだ。

昨年に新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)から早期に抜け出したことで人民銀が政策を引き締める余地が生まれ、米中の利回り差が拡大し、外国人投資家による中国債買い入れが進んでいる。

上海にある摩根資産管理(JPモルガンアセットマネジメント)のグローバル市場ストラテジスト、朱超平氏は、このことが人民元を後押しするポジティブなフィードバックループになっていると指摘。「中国はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大という点では最も安全な地域にとどまる可能性があるほか、中国の経済成長は依然として世界をリードしている。そのため、われわれは上半期も資本流入が続くと信じている」と話した。

こうした資本流入が続く中、投資家は中国が引き続き資本流出に対する制限を撤廃し、個人・機関による対外投資を促進すると見込んでいる。

(Winni Zhou記者、 Andrew Galbraith記者)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ANA、エアバス機不具合で30日も6便欠航 2日間

ビジネス

アングル:「AIよ、うちの商品に注目して」、変わる

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 A

ワールド

アングル:平等支えるノルウェー式富裕税、富豪流出で
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 8
    香港大規模火災で市民の不満噴出、中国の政治統制強…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中