ニュース速報

ビジネス

日産、小型車「ノート」8年ぶり全面改良 人気車で再建急ぐ

2020年11月24日(火)14時19分

 日産自動車は24日、約8年ぶりに全面改良した小型車「ノート」を日本で12月23日に発売すると発表した。写真は日産のロゴ。横浜で7月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[横浜市 24日 ロイター] - 日産自動車は24日、約8年ぶりに全面改良した小型車「ノート」を12月23日に日本で発売すると発表した。電動化に集中するため、ガソリン車をなくし、全面刷新した独自のハイブリッド(HV)システム「eーPOWER(イーパワー)」を搭載したHV専用車とする。約20年ぶりに新しくしたブランドロゴを初めて付けて売り出す。売れ筋の新型車投入で販売回復に勢いをつけ、経営再建を急ぐ。

国内の小型車市場は軽自動車に攻め込まれ縮小傾向にある上、トヨタ自動車の「ヤリス」やホンダの「フィット」など販売上位の車がひしめき合う。日産は新型のスポーツ多目的車(SUV)「キックス」の投入を機に10月の新車販売(軽自動車除く)が23カ月ぶりに増加するなど、ようやく上向き始めた。これまでは長い間新型車がなく、「日本市場軽視」と顧客から見られ続けていた日産が、どこまで存在感を取り戻せるかが試される。

新型ノートは5月公表の経営計画で打ち出した新型車12車種の1つで、キックスに続く2車種目。星野朝子副社長は発表会で「世界中の日産が注目している期待を背負った車」と指摘。「日本で確実に成功を収めることが日産の電動化への道を本当に確固たるものにする」と語った。価格は202万9500円からで、国内販売計画は月平均8000台。海外での投入も検討している。

ノートは2005年に初代を発売し、12年には全面改良した2代目を投入。16年のマイナーチェンジ時に追加したeパワー仕様車は電気自動車(EV)のような滑らかな加速や静粛性などが評価され、販売が大きく伸びた。新車販売(軽自動車除く)では小型車として17年から3年連続トップ、18年には日産史上初の年間1位を獲得した。

eパワーは、ガソリンエンジンで発電用モーターを動かして発電した電力をバッテリーに蓄えるほか、走行用モーターにも供給。その電力でモーターを駆動して走る日産独自システム。現行ノートで初採用し、ミニバン「セレナ」やキックスにも搭載してきたが、新型ノートでは設計からすべて見直したeパワーを搭載して性能を向上させた。

連合を組む仏ルノーと共通の車台を使い、開発費を含むコストも抑えた。運転支援装備「プロパイロット」も機能を拡充。ナビと連携した機能を追加し、カーブでの減速支援など運転しやすくした。

新しいロゴはEV「アリア」が7月に披露された際に初公表されたが、アリアの発売は来年のため、新ロゴを付けた車の販売は新型ノートが初となる。カルロス・ゴーン前会長の逮捕、経営の混乱などでブランド力も毀損しており、イメージ回復をさらに図りたい考えだ。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:青山敦子)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中