ニュース速報

ビジネス

9月の米財貿易赤字縮小、小売在庫は増加 第3四半期GDP支援へ

2020年10月29日(木)01時48分

米商務省が28日発表した9月の財貿易収支は、赤字幅が4.5%縮小して793億7400万ドルだった。ニュージャージー州ニューアークで2017年11月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 28日 ロイター] - 米商務省が28日発表した9月の財貿易収支は、赤字幅が4.5%縮小して793億7400万ドルだった。輸出は2.7%増の1219億9200万ドルだった。

食品と飼料、飲料が急増。自動車と消費財、資本財も増える一方で、産業用資材は減少した。輸入は0.2%減の2013億6700万ドル。産業用資材と消費財、その他のモノの輸入が減った。貿易赤字は8月まで2カ月連続で拡大。9月に赤字が縮小したことは、貿易が当初予想ほどGDPを押し下げないとみられる。

また小売在庫は1.6%増加。8月は0.5%増だった。GDP算出に用いられる自動車を除く小売在庫は9月に0.9%増加した。貿易と小売在庫の統計を受け、第3・四半期GDP予想に上振れリスクが出た。ロイターのエコノミスト調査によると第3・四半期GDPは年率で前期比31%増となる見込みだ。

先に発表された小売売上高や耐久財受注、住宅関連指標に加え、この日の統計は経済が幾分持ち直したことを示す。ただ第4・四半期国内総生産(GDP)は依然として商務省の予想を下回る可能性が高い。

29日に速報値が発表される第3・四半期GDPは過去最大の伸びになることが見込まれている。第2・四半期は31.4%減と、1947年に政府が統計を開始して以来の大幅な落ち込みだった。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が経済に打撃を与える中、米政権が今年導入した3兆ドルを超える支援策により多くの企業や失業者が救われた。ただそれ以降、支援策に充てる政府の支援金は枯渇したほか、新型コロナ感染が再び増加する中で第4・四半期の経済見通しに陰りが出ている。

INGのチーフインターナショナルエコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「総生産が19年第4・四半期末時点を下回ることを忘れてはならない」とし、「経済が完全に回復するまでの道のりは長い。残念ながら課題は積み上がっている」と指摘した。

JPモルガン・ファンズ(ニューヨーク)のチーフグローバルストラテジスト、デビッド・ケリー氏は「実質GDPが2019年第4・四半期の水準に戻るには21年第3・四半期までかかるだろう」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中