ニュース速報

ビジネス

世界の銀行の貸倒損失、コロナ禍で21年末までに2.1兆ドルに=S&P

2020年07月10日(金)11時14分

 7月10日、格付け会社S&Pグローバルは9日、新型コロナウイルス危機により、世界の銀行は2021年末までに総額2兆1000億ドルの貸倒損失を抱えるとの見通しを示した。写真はニューヨークで2018年12月撮影(2020年 ロイター/BRENDAN MCDERMID)

[ロンドン 9日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルは9日、新型コロナウイルス危機により、世界の銀行は2021年末までに総額2兆1000億ドルの貸倒損失を抱えるとの見通しを示した。2020年に1兆3000億ドルに達し、昨年の倍以上に膨らむ見込みという。

地域別ではアジア太平洋地域が損失額の約60%を占める一方、特に北米と西欧で損失が急増し、2019年比で倍以上に増大する見通し。

S&Pのアナリストはリポートで「われわれは、格付け上位200行が世界の銀行融資の約3分の2を占めるとみている」とし、「これらの銀行の2020年の貸倒損失は引当金計上前の利益の約75%を吸収する見通しだ。この比率は基本シナリオでは21年に約40%に改善する」と分析した。

アジア太平洋地域は21年末までの損失が1兆2000億ドルに上り、このうち中国が75%を占める見込みという。

中国の銀行システムは、顧客向け融資が米国、日本、ドイツ、英国を合わせた規模に匹敵し、経済への信用供与でより重要な役割を担う傾向がある。

北米では3660億ドル、西欧では2280億ドル、東欧・中東・アフリカ地域は1420億ドル、中南米は1310億ドルの損失が見込まれている。

リポートは「新型コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)がS&Pの基本シナリオでの想定よりも深刻化あるいは長期化した場合、さらなる貸倒損失の拡大と利益減少により、世界の銀行への打撃は避けられないだろう」とした。

*関連グラフィックは https://tmsnrt.rs/2CffZah をご覧ください。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大麻規制緩める大統領令に近く署名か 米

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中