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全9地域で判断引き下げ、新型コロナで2四半期連続=日銀リポート

2020年07月09日(木)18時44分

 7月9日、日銀は、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、9地域全てで景気の判断を引き下げた。写真は東京の日銀本店。5月22日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 9日 ロイター] - 日銀は9日、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、9地域全てで景気の判断を引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停滞し、2四半期連続の全地域引き下げとなった。2四半期連続で全地域の判断を引き下げるのは、リーマン・ショック後の2008年10月、09年1月以来。

需要項目別では、個人消費と雇用・所得で全地域引き下げとなった。個人消費の全地域引き下げは2四半期連続で、さくらリポートが現在の形式になった05年4月以降で初。このほか、生産は九州・沖縄を除く8地域で引き下げ、住宅投資は北海道と四国を除く7地域で引き下げ、設備投資は東海と四国を除く7地域で引き下げとなった。

ただ、経済活動の再開で、個人消費に持ち直しの動きが見られるほか、設備投資でもリモートワーク対応でソフトウエア投資を急ピッチで進めるなどの動きがあり、先行きに明るい兆候も出ている。日銀・調査統計局の島田康隆地域経済調査課長は「感染症への警戒が続く中で、足元の一部で見られる前向きな動きがどこまで、どのようなペースで広がっていくのか、地域経済の動向をしっかり見ていく必要がある」と話している。

<関西の百貨店「富裕層の取り込みが鍵」>

9日午後に記者会見に臨んだ山田泰弘大阪支店長(理事)は、関西経済について「先行きしばらくの間は下押し圧力が大きい状況が続くとみている」と述べた。「経済活動の再開で最悪期を脱したとの認識は(管内)みな持っていると思うが、下方に不確実性が高いということを同時に共通認識として持っている」とした。

関西経済はインバウンドの恩恵を受けてきた。百貨店の今後のビジネスモデルについて、山田支店長は「富裕層の消費意欲をいかに取り込むかがポイントになる」と語った。

<感染急増の米国、自動車メーカーは販売戦略を工夫>

清水季子名古屋支店長(理事)は会見で「足元は自動車を中心に輸出・生産が改善しており、この流れは今後も続くだろう」と指摘。ただ、改善ペースは抑制的になると述べた。

米国では新型コロナの感染者が急増している。清水支店長は「米国の感染状況は非常に心配している」と述べる一方、感染状況は地域ごとに異なり、政策対応にもばらつきがあると指摘。東海地方の自動車完成車メーカーは地域的なばらつきを見極めて販売戦略を工夫しており「しっかり需要は捉えられていると聞いている」と話した。

*内容を追加して再送します。

(和田崇彦 編集:内田慎一、青山敦子)

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