ニュース速報

ビジネス

米景気回復、来年末までかかる可能性─FRB議長=CBS

2020年05月18日(月)10時38分

 5月17日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米経済の回復プロセスは来年の終わりまで長引く可能性があるとし、完全な景気回復は新型コロナウイルスのワクチンが開発されるかどうかに左右されるとの認識を示した。2月撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米経済の回復プロセスは来年の終わりまで長引く可能性があるとし、完全な景気回復は新型コロナウイルスのワクチンが開発されるかどうかに左右されるとの認識を示した。

米経済にとって現在最も重要なデータは、感染状況を巡る「医学的な指標」だとしたほか、企業や家計に対してさらに3─6カ月間の政府支援が必要になる可能性があるとの見方を示した。

パウエル議長は17日夜に放送されたCBSの番組「60ミニッツ」のインタビューで、米経済再開の成功を左右する重要な要素として医療面の問題に繰り返し言及した。州・地方政府が社会・経済活動の制限緩和に乗り出す中、国民は対人距離を確保する「ソーシャル・ディスタンシング」のルールを守ることで、この局面を「助け合いで乗り越える」必要があると訴えた。

その上で「思慮深く慎重に経済活動を再開し、ソーシャル・ディスタンシングの措置を継続するとともに、感染の再拡大回避のためにできる努力をすれば、回復はかなり早期に始まる可能性がある」と述べた。

ただ、最善の状況でも長い道のりになるとし、一段の雇用減少が6月まで続く可能性が高いと指摘。回復の「加速」には時間がかかるとし、旅行や娯楽など経済の一部セクターはワクチンが開発されるまで圧迫が続く可能性もあるとの見方を示した。

失業率は25%まで上昇する可能性があるとし、第2・四半期の国内総生産(GDP)は年率で20%減少する可能性があるとの見通しを示した。ただ、長期的な恐慌のような状態になるとは見込んでいないと述べた。

パウエル議長は「経済は回復する」とした上で、「時間がかかるかもしれない。来年の終わりまで長引く可能性がある。本当に分からない」と語った。

また「新型コロナウイルス(感染)の第2波が起きないと想定した場合、経済は今年下期を通じて着実に回復するだろう。経済の完全な回復には国民の十分な信頼感が必要で、それにはワクチンの開発を待たなければならないかもしれない」と述べた。

パウエル議長は、FRBと米議会は経済への追加支援が必要になる可能性があるとの見方も示した。

米議会は3月以降、新型コロナによる経済への打撃に対応するため約3兆ドル規模の支援を決定し、追加対策の必要性について現在検討している。FRBも企業や金融市場の機能維持を支援するとともに、個人や企業の破産を防ぐため一連の措置を実施している。

パウエル議長は、保健当局が感染抑制に取り組む間、「個人や企業の破産をさらに3─6カ月間回避することで、時間を稼ぐことができる。そうした支援が適切かもしれない」と述べ、より長期にわたる支援が必要になる可能性に言及した。

FRBについては「政策手段は尽きていない」とし、既存プログラムの拡大や新たな措置の追加が可能だと指摘。「(手段は)決して尽きていない」と語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、シカゴ・ロス・ポートランドから州兵撤退

ビジネス

米国株式市場=続落、25年は主要3指数2桁上昇 3

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中