ニュース速報

ビジネス

米FRB、経済の完全な回復まであらゆる手段行使=パウエル議長

2020年04月10日(金)01時47分

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、新型コロナウイルスの感染拡大によるダメージから米経済が完全に回復し始めるまで、FRBは利用可能なあらゆる手段を使い続けるとの姿勢を示した。 ワシントンで昨年7月撮影(2020年 ロイター/Erin Scott)

[ワシントン/サンフランシスコ 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、新型コロナウイルスの感染拡大によるダメージから米経済が完全に回復し始めるまで、FRBは利用可能なあらゆる手段を使い続けるとの姿勢を示した。

パウエル議長は米シンクタンクのブルッキングス研究所が主催したオンラインイベントで、「信用の流れを支援するためにFRBが実施している対策の多くは緊急融資権限に依存するものだ。米国が確実に回復軌道に乗ったと確信できるまで、FRBはこうした権限を力強く、かつ積極的、野心的に利用していく」と述べた。

その上で、新型ウイルス抑制策で米経済の大部分が停止する前は経済は力強かったことに言及し、経済が回復し始めた時に回復が「堅調な」ものになると考える根拠はあると述べた。

新型ウイルスの感染拡大を受け、FRBは3月初旬以降、経済への影響の緩和に向け、利下げや資産買い入れなど数々の対応策を打ち出してきた。パウエル議長は「市場や各機関が重要な機能を再び果たし始められるまで」FRBはこうした緊急措置を維持すると表明した。

ただ、FRBは融資を行う機関であるとし、中央銀行が行えることには限りがあるとも指摘。「最も大きな影響を受けている部門に財政支援を提供する重要な役割は選挙で選ばれた当局者が担っている」とし、「融資返済よりも、むしろ直接的な財政支援を必要としているあらゆる種類の団体が存在している」と述べた。

労働省が朝方発表した4月4日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は660万6000件と、前週の687万件からやや鈍化したものの、2週連続で600万件を上回った。厳格な新型コロナウイルス対策を背景に、過去3週間の合計は1500万件を上回った。

パウエル議長は「失業が50年ぶりの低水準にあった状態から、一時的なものとは言え、恐るべき速さで失業が極めて多い状態に移行しつつある」とし、「公共の利益のため、苦境に陥っている人々を救済するために、社会としてできる限りのことを実施する必要がある」と述べた。

FRBはこの日、地方政府と中小企業に対する総額2兆3000億ドルの支援策を発表。政府は3月27日、新型コロナ経済対策第3弾として、約2兆ドルの経済対策法を成立させた。第4弾が現在検討されている。[nL3N2BX3V9]

パウエル議長はこのほか、新型ウイルスの感染拡大抑制に向け人々が自宅にとどまり、政府が企業と家計に対する支援を行い、公衆衛生当局が感染抑制策の解除に向けた全国的な計画を策定すれば、米経済は「かなり速く」回復に向かうとし、「経済の再開に向けた全国的な計画が必要だ」と述べた。

ただ「こうしたことができるだけ早い時期に起こることを誰もが望んでいるが、部分的に経済を再開し、その結果、感染が再び拡大し、元の状況に戻るような状況は回避する必要がある」と述べた。

FRBの金融政策については「適切なところに位置している」とし、FRBは広範な緊急融資策を必要に応じて調整、もしくは拡充し、回復が軌道に乗ったと確信できるまで維持すると語った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの条件そろいつつあるが、米経済下振れに警戒感

ワールド

ガザ国際安定化部隊の任務は2年間、米が国連決議案起

ビジネス

米EVリビアン、第3四半期売上高が予想超え 駆け込

ワールド

ロシア大統領府、核実験巡り米国の説明待ちと報道官=
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中