ニュース速報

ビジネス

米失業保険申請が最多更新、前週比倍増の665万件 新型コロナで

2020年04月03日(金)02時05分

米労働省が2日発表した3月28日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は665万件と、前週の330万件から倍増し、2週連続で過去最多を更新した。ニューヨークで3月撮影(2019年 ロイター/ANDREW KELLY)

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した3月28日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は664万8000件と、前週の330万7000件(上方改定)から倍増し、2週連続で過去最多を更新した。

新型コロナ感染拡大防止に向けて全米の多くの地域で施行されている外出制限措置が背景で、エコノミストは米経済のリセッション(景気後退)入りを警告する。

市場予想の中央値は350万件。最高でも525万件だった。

21日終了週の失業保険受給総数は302万9000件と、前週から124万5000件急増し、2013年7月6日終了週以来の高水準となった。

トランプ大統領が先週署名した2兆3000億ドル規模の大型経済対策法によって連邦政府の失業保険申請要件が緩和され、これまで申請資格のなかった一部の自営業者らによる申請が可能になったことも、増加の背景にあるとみられる。

労働省は、新型コロナ流行を受けた一時解雇について各州が宿泊や飲食業など幅広い業界を対象に調査を続けているとした。

指標発表を受け、ドル<.DXY>は主要通貨に対して上昇。米国株式は原油価格の急騰を受けて値上がりした。

JPモルガン・アセット・マネジメントの首席グローバルストラテジスト、デイビッド・ケリー氏は「試算では、新型コロナ流行の打撃を大きく被っている産業では1600万人超の雇用喪失の可能性がある」と予想。「こうした雇用喪失によって失業率は現在の約3.5%から12.5%に押し上げられる見通しで、これは世界大恐慌以来の高水準だ」と述べた。

また、ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクワドロス氏は「業務停止命令の威力が示された」とし、増加の大きさを受けて、現金支給や景気対策第4弾、また米連邦準備理事会(FRB)の追加的な流動性供給策に注目が集まると述べた。

2007─09年の景気後退期には、失業保険申請件数のピークは66万5000件だった。同時期には870万人の雇用が失われた。

今回の統計は、3日に発表される3月米雇用統計の集計には含まれない。ロイターがまとめたエコノミスト予想によると、非農業部門雇用者数は10万人減、失業率は3.8%。

ロイターの集計によると、これまでに米国内で確認されている新型コロナ感染者は21万4000人超と世界最多。死者も5000人に迫っている。

現時点で、国民の80%超が外出自粛や外出禁止などの移動制限下にあり、数週間前の50%から増加した。

PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・フォシャー氏は「米経済はすでにリセッションに入っている」とし、「大規模な雇用喪失は経済に長期的な大打撃となる恐れがあり、将来的な景気回復を弱める」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:軽飛行機で中国軍艦のデータ収集、台湾企業

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中