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中銀デジタル通貨の共同研究、大口決済の高度化促す=前日銀局長
1月22日、山岡浩巳・前日銀決済機構局長(フューチャー取締役、写真)は、ロイターのインタビューに応じ、日欧6中銀などが立ち上げた中央銀行デジタル通貨(CBDC)の共同研究組織について、大口決済へのブロックチェーン技術の適用などにつながることが期待できると述べた。写真は都内で2016年10月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
和田崇彦 木原麗花
[東京 22日 ロイター] - 山岡浩巳・前日銀決済機構局長(フューチャー<4722.T>取締役)は22日、ロイターのインタビューに応じ、日欧6中銀などが立ち上げた中央銀行デジタル通貨(CBDC)の共同研究組織について、大口決済へのブロックチェーン技術の適用などにつながることが期待できると述べた。一方、電子マネーなど民間のさまざまな決済サービスが駆逐される恐れがあるため、小口決済でも広範に利用できるCBDCが登場する可能性は低いとの見方を示した。
山岡氏はまた、CBDCを金融政策のツールとして活用すべきだという議論は後退していると話した。スウェーデン中銀がマイナス金利を撤廃するなど、欧米を中心にマイナス金利政策への懸念が広がっており、「デジタル通貨にマイナス金利をつけて深掘りしていくことの有効性に疑問が持たれている」と述べた。
山岡氏は、日欧中銀が共同研究に至ったのは、フェイスブック
今回の枠組みに米連邦準備理事会(FRB)は加わらなかったが、山岡氏は「FRBは(デジタル通貨に)慎重だ」と指摘。各国の中銀がデジタル技術の研究を進める中にあっても「ドルはすでに世界の基軸通貨なので切迫感が低い」と述べた。
共同研究を契機とした今後の展開について、山岡氏は「大口決済に中銀のデジタル通貨のブロックチェーン技術を応用するハードルはそんなに高くない。この動きの方が先に起こってくるだろう」と予想。一方、「銀行券をデジタル通貨で代替することへのハードルは相当高い。民間がすでにいろんなサービスを提供しており、これらを中銀が駆逐してしまっていいのかという問題がある」と指摘し、小口決済でのデジタル通貨の普及には否定的な見解を示した。小口決済では各国ごとに事情が異なり、日本では現金の利用が多く、そもそもデジタル通貨が必要なのかという問題もあるとした。