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NY市場サマリー(25日)

2019年10月26日(土)06時54分

[25日 ロイター] - <為替> ドルが上昇。米中が閣僚級の電話協議を経て「第1段階」通商合意の部分成立に近づいていると伝わったことが材料視された。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表およびムニューシン米財務長官はこの日、中国の劉鶴副首相と電話協議を実施。協議後、USTRは「特定の問題について前進し、一定の分野で合意に近づいている」と発表した。[nL3N27A40T]

主要6通貨に対するドル指数は0.2%高の97.826。ドルは対ユーロで0.2%高の1.108ドル。

クレディスイスの外為戦略部長、シャハブ・ジャリヌース氏は「これまでと同様、国際的な貿易摩擦問題が引き続き日々の指標以上に材料視されるだろう」と指摘。米中はトランプ大統領が今月11日に発表した中国との「第1段階の合意」を巡り、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて両首脳が署名できるよう文書での合意を目指しており、APEC会議が次の注目イベントになると述べた。[nL3N27A1U9]

ポンド/ドルは0.19%安の1.283ドル。欧州連合(EU)は25日、英国の離脱期日の延期で合意したものの、延期後の新たな期日は示さなかった。EUは週末にかけてさらに協議を進め、来週28日もしくは29日にブリュッセルで再度会合を開く可能性がある。[nL3N27A47M]

来週は29ー30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目される。リフィニティブのデータによると市場はおおむね0.25%の利下げを織り込んでいる。

<債券> 米中が通商問題で部分合意に近いと伝わったことで国債が売られ、利回りが上昇した。世界的なリスク後退で連邦準備理事会(FRB)は積極的な利下げを実施せずに済むとの見方が出る中、5年債、7年債、10年債の利回りが5週間ぶりの水準に上昇したほか、2年債利回りは3週間ぶりの高水準を付けた。

米通商代表部(USTR)はこの日、ライトハイザーUSTR代表およびムニューシン米財務長官が中国の劉鶴副首相と電話協議したことを明らかにし、両国が「第1段階」通商合意の部分成立に近づいていると発表した。[nL3N27A40T]

ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の米金利ストラテジスト、マイケル・チャン氏は「短期債を中心に売りが出たが、英国の欧州連合(EU)離脱と貿易戦争に起因するテールリスクにより、FRBが必要以上に緩和姿勢を維持したことを示している」と指摘。「現在はこの2つのリスクは後退しつつある」とし、「利下げが実施される見方に変わりはないが、その後は利下げを休止できるとの見方が大勢となっている。一段の追加利下げはもはや確実視されていない」と述べた。

終盤の取引で10年債利回りは1.796%と、前日終盤の1.766%から上昇した。30年債利回りは2.288%と、2.259%から上昇。2年債利回りは1.623%と、1.582%から上昇した。

米中通商協議を巡るニュースが伝わる前は米国債利回りはほぼ横ばいで推移。過去2、3日は方向感のない取引が続いていた。

FRBが来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定するとの見方は織り込み済みとなっている。

ナットウエスト・マーケッツのアナリストは、FRBは「保険」としての利下げと長期的な緩和サイクル入りを示す利下げとの間の分岐点に近づいていると指摘。ただ、英国のEU離脱と米中通商問題を巡る観測が一定しない中、ハト派方向に傾くことについてFRB内で見解の相違が出ているとし、「FOMC声明とパウエル議長の記者会見の双方でFRBは会合ごとに決定する見解を示すだろう」と述べた。

<株式> 上昇。米中通商協議進展の兆しやインテルの好決算が市場心理を押し上げた。S&P総合500種は一時、7月に付けた終値での最高値を上抜けたほか、S&P500トータルリターン指数は過去最高値を付けた。

米通商代表部(USTR)はこの日、米中が閣僚級の電話協議を経て、「第1段階」通商合意の部分成立に近づいていると発表。トランプ大統領は「中国は合意を強く望んでいる」と述べた。[nL3N27A40T]

米企業の四半期決算が本格化する中、今週は好調な業績が相場への追い風となった。週間ではダウ平均が0.7%、S&P総合が1.2%、ナスダック総合は1.9%それぞれ上昇。S&P総合は過去7週間週間で最大の伸びを記録。ナスダックの週間の伸びも過去8週間で最大となった。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのアンドリュー・スリモン氏は「貿易を巡る幾分明るいニュースが相場押し上げにつながったが、ニュースが伝わる前もマイナス要因はさほどなかった」とし、売り一服商状になっていると指摘した。

インテルは8.1%高と、昨年1月以来の大幅な上昇率を記録。前日引け後に発表した第3・四半期決算はデータセンター部門の売り上げが伸び、売上高と利益とも市場予想を上回った。通期の売上高見通しも引き上げた。[nL3N2796NM]

インテルの上昇が主導し、フィラデルフィア半導体指数は過去最高値を更新した。

反面、アマゾン・ドット・コムは1.1%安で終了。年末商戦を含む第4・四半期の業績見通しが低調で売られたが、日中安値からは戻して引けた。前日引け後に示した第4・四半期の売上高と利益見通しは、競争激化や配送時間短縮に伴うコスト増加が重しとなり市場予想を下回った。[nL3N2795D9]

ボーイングは1.4%安。インドネシアの航空事故調査官は乗客乗員全189人が死亡したライオン・エアのボーイング737MAX墜落事故について最終報告書をまとめ、米規制当局から十分な監督を受けていなかったボーイングがコクピットのソフトウエアにおける設計上のリスクを把握していなかったことが墜落の一因になったと指摘した。[nL3N27A2RK]

来週は、アップル、アルファベット、ファイザー、メルクなどが発表する四半期決算が注目される。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.41対1の比率で上回った。ナスダックも1.50対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は62億9000万株。直近20営業日の平均は64億6000万株。

<金先物> 米国の追加利下げ観測などを背景に買いが先行した後、利益確定の売りに押され、ほぼ横ばいとなった。中心限月12月物の清算値は前日比0.60ドル(0.04%)高の1オンス=1505.30ドル。

米連邦準備制度理事会(FRB)は来週29、30日に金融政策決定会合を開く。追加利下げが有力視される中、金利を生まない資産である金塊に調整的な買いが入り、相場は朝方に一時1520.90ドルまで上昇した。

英国による欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感も「質への逃避」の金買いを支えた。EUは25日、10月末に迫った英国の離脱期限の延期を容認する方針で一致したが、延期期間については結論を翌週に先送りした。

買い一巡後は利益確定の売りなどに上げ幅を縮小。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と中国の劉鶴副首相の電話会談後にUSTRが出した声明は、「複数の分野で最終決着に近づいている」と明記。近く再協議が行われるとされ、リスク警戒感が後退したことも相場の重し。外国為替市場で、対ユーロでドル高基調となり、ドル建てで取引される金などの商品に割高感が生じたことも下押し要因となった。

金塊現物相場は午後1時31分現在、1.525ドル高の1503.370ドル。

<米原油先物> 需給緩和懸念の後退を背景とした堅調地合いが継続した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値は前日比0.43ドル(0.76%)高の1バレル=56.66ドルとなり、これで4日続伸。週間では5.36%上昇した。1月物の清算値は0.44ドル高の56.71ドル。

前日に約1カ月ぶりの高値で清算値を確定した反動で、同日夕方以降は利益確定の動きが先行。25日午前は買い戻しと利食い売りが交錯し、やや荒い値動きとなった。ただ、その後は需給緩和懸念の後退を手掛かりとした買いが膨らみ、小幅プラス圏で推移。今週は、米エネルギー情報局(EIA)が公表した週報で、米原油在庫が予想外の取り崩しとなったほか、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国が一段の減産に踏み込む可能性が報じられ、エネルギー商品の供給過剰に対する警戒感が和らいだ。さらに25日午後、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが公表した統計で、同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数が前週比17基減の696基に縮小したことも強材料となり、清算値確定が迫った時間帯には一段高となった。

ドル/円 NY終値 108.64/108.68

始値 108.62

高値 108.77

安値 108.52

ユーロ/ドル NY終値 1.1078/1.1082

始値 1.1112

高値 1.1114

安値 1.1074

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 99*05.00 2.2891%

前営業日終値 99*25.50 2.2590%

10年債(指標銘柄) 17時05分 98*14.00 1.7995%

前営業日終値 98*23.50 1.7660%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*12.75 1.6258%

前営業日終値 99*19.00 1.5850%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.25 1.6236%

前営業日終値 99*26.88 1.5820%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 26958.06 +152.53 +0.57

前営業日終値 26805.53

ナスダック総合 8243.12 +57.32 +0.70

前営業日終値 8185.80

S&P総合500種 3022.55 +12.26 +0.41

前営業日終値 3010.29

COMEX金 12月限 1505.3 +0.6

前営業日終値 1504.7

COMEX銀 12月限 1792.6 +12.2

前営業日終値 1780.4

北海ブレント 12月限 62.02 +0.35

前営業日終値 61.67

米WTI先物 12月限 56.66 +0.43

前営業日終値 56.23

CRB商品指数 178.3687 +0.6590

前営業日終値 177.7097

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