ニュース速報

ビジネス

洋上風力発電は「1兆ドルビジネス」、再生エネ担い手に=IEA

2019年10月25日(金)23時59分

 10月25日、国際エネルギー機関(IEA)は洋上風力発電について、コストの大幅削減と技術の向上で、将来、重要な再生可能エネルギー源となり、1兆ドルビジネスとなる可能性があると指摘した。写真は英ブラックプール沖の洋上風力発電施設。2018年9月撮影(2019年 ロイター/Phil Noble)

[コペンハーゲン 25日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は25日、洋上風力発電について、コストの大幅削減と技術の向上で、将来、重要な再生可能エネルギー源となり、1兆ドルビジネスとなる可能性があると指摘した。

地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」では、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという目標を掲げている。IEAは、洋上風力に関するこれまでで「最も包括的な」研究リポートで、この目標を達成するためには化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が不可欠であり、洋上風力発電が拡大すれば世界の電力セクターによる二酸化炭素(CO2)の排出を50億─70億トン減らせる可能性があるとしている。

IEAによると、洋上風力発電は現在、世界の発電量の0.3%を占めるに過ぎない。しかし、現在実施されている政策や提案段階の政策に基づくと、洋上風力の発電能力は今後20年で15倍となり1兆ドルビジネスになると予想されるという。

IEAのビロル事務局長は、「過去10年間、技術革新によるコストの大幅削減でエネルギーシステムの大変革をもたらした」分野として「シェール革命と太陽光発電」を挙げたうえで「コスト急減という点で、洋上風力もそれに加わる可能性を持つ」と指摘。世界的な洋上風力発電の平均コストは5年間で1メガワット時当たり60ドルに半減すると予想し、コスト削減はタービンの大型化や資金調達コストの低下によって促進されるとした。

IEAによると、1ギガワット規模の洋上風力発電設備(送電設備も含む)の建設費は昨年は40億ドル以上だったが、今後10年間で費用は40%以上減少する見込み。

欧州では、洋上風力発電が近いうちに採算の面で天然ガス火力発電を上回り、太陽光発電や陸上風力発電と同程度になる見通し。中国では、2030年ごろに洋上風力発電が新石炭火力発電と対等の地位になると予想されるという。

ただIEAは、洋上風力発電の拡大のためには、陸上の送配電インフラへの大規模な投資や政府の実質的な行動が必要とも指摘。

ビロル事務局長は「政府が気候政策や気候変動に影響を与えない(クライメート・ニュートラル)な活動に真剣に取り組む場合、洋上風力発電などグリーンテクノロジーの発展に特化した政策を採用する必要がある」とし、「クリーンエネルギー移行の主役となるために政府や関係業界がすべきことは多い」と語った。

*内容を追加します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中