ニュース速報

ビジネス

焦点:米ネット通販の税徴収可能に、リアルへの恩恵は限定的か

2018年06月23日(土)08時32分

 6月21日、米最高裁は判決で州政府がオンライン小売業者に売上税の徴収を義務付けることを認めた。写真はワシントンで11日撮影(2018年 ロイター/Erin Schaff)

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米最高裁は21日の判決で州政府がオンライン小売業者に売上税の徴収を義務付けることを認めた。これまで売上税の徴収を免れてきたオンライン小売りにとっては逆風となる。

ただし、アマゾン・ドット・コムなど大手は潮流の変化を察知して既に徴収に動いており、ウォルマートやターゲットなど実店舗型小売りが今回の判決か受ける追い風は限定されそうだ。

オンライン小売りは顧客から売上税を徴収せずに済み、それが商品の価格を低く抑えられる要因になっていた。今回の判決は売上税についてオンラインと実店舗の差を解消するもので、一部の専門家からは重要度は先の米税制改革並みとの声も上がっている。

しかし税務や小売業のコンサルタントは、実店舗型の小売り大手が受ける恩恵は小さいとの見方だ。

監査サービスなどを手掛けるRSMのプリンシパル、ブライアン・カーケル氏は「判決で実店舗がオンラインに比べて大きなプラスを得るとは思わない。ウォルマートやターゲットと競合するオンライン小売り大手は、流れを先読みして既に売上税の徴収・納税に踏み切っているからだ」と話す。

例えばアマゾンは自社在庫からの販売と、アマゾンのプラットフォームを利用したサードパーティーの販売の一部について、売上税の徴収を実施済みだ。

ベアード・エクイティ・リサーチも最高裁判決について、アマゾンへの影響は限定的とする分析結果を公表した。

オンライン小売りはアマゾン以外にも、ウェイフェアが米国内の注文の約8割で売上税の徴収・納税を行っていると公表。オーバーストック・ドット・コムも判決は経営に目立った影響を及ぼさないとする見通しを明らかにした。

オンライン小売りへの売上税徴収義務付けを訴えてきた小売業リーダーズ協会(RILA)の法律顧問、デボラ・ホワイト氏は「判決は小売り業の経営にとって万能薬にはならない」としながらも、実店舗型小売りの競争面での不利が解消されるとの見方を示した。

ただ、投資家などの間からは、オンラインショッピングがもたらした「便利さ」という文化が普及したために、実店舗型小売りは今回の判決から大きな利益を受けにくくなっているとの指摘が出ている。

テーミス・トレーディングの株式トレーダー、マーク・ケプナー氏は「もし10年前にこのような判決が出れば今よりももっと大きな影響があっただろう。今日ではインターネットは小売業の一部に組み込まれている。すぐに変化が起きることはない」と話した。

(Nandita Bose記者)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ワールド

日欧EPA調印、「自由貿易前進の意思示す」と安倍首

ビジネス

アングル:金融庁、新3局体制が始動 総合政策局が司

ワールド

焦点:米中摩擦がロシアなどに恩恵、黒海周辺の穀物輸

ビジネス

ANA、8月欠航は国内線378便 年内に改良型エン

MAGAZINE

特集:中国シャープパワーの正体

2018-7・17号(7/10発売)

ハードパワーでもソフトパワーでもない「第3の影響力」 中国が駆使するシャープパワーの隆盛と限界

次号は7月18日(水)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    「何か来るにゃ...」 大阪地震の瞬間の猫動画に海外が注目 アメリカでは19世紀から軍で研究も

  • 2

    金正恩の背後の足場に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

  • 3

    トランプの仕掛けた貿易戦争、米国内に生まれる「勝ち組と負け組」

  • 4

    美しいビーチに半裸の美女、「中国のハワイ」にまだ…

  • 5

    悪夢は終わらない? トランプ、2020年に再選目指す意…

  • 6

    移民がもたらす意外な経済的プラス効果

  • 7

    希少な新種オランウータンの双子発見! インドネシ…

  • 8

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 9

    金正恩「デート禁止令」に、北朝鮮大学生の不満が爆発

  • 10

    オウム死刑で考えた──日本の「無宗教」の真実

  • 1

    「何か来るにゃ...」 大阪地震の瞬間の猫動画に海外が注目 アメリカでは19世紀から軍で研究も

  • 2

    金正恩の背後の足場に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

  • 3

    美しいビーチに半裸の美女、「中国のハワイ」にまだ足りないもの

  • 4

    金正恩「デート禁止令」に、北朝鮮大学生の不満が爆発

  • 5

    タイ洞窟の少年たちの中には、無国籍だが5カ国語を話…

  • 6

    オウム死刑で考えた──日本の「無宗教」の真実

  • 7

    最も安全で平和な国でアイスランドが11連覇 一方女…

  • 8

    世界の海洋プラスチック廃棄物の9割は、わずか10の河…

  • 9

    世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ

  • 10

    戦慄の実話! 悪夢と化した「憧れの田舎暮らし」 …

  • 1

    史上最悪の「スーパー淋病」にイギリス人男性が初感染、東南アジアで

  • 2

    美しいビーチに半裸の美女、「中国のハワイ」にまだ足りないもの

  • 3

    「何か来るにゃ...」 大阪地震の瞬間の猫動画に海外が注目 アメリカでは19世紀から軍で研究も

  • 4

    頭は鳥、体は魚!? 釣り針にかかった奇妙な生き物…

  • 5

    噴火がつづくハワイ・キラウエア火山──空から宝石が…

  • 6

    悪臭で飛行機を降ろされた男性、体組織が壊死する感…

  • 7

    金正恩の「美少女調達」システムに北朝鮮国民が怒り

  • 8

    世界が激怒する中国「犬肉祭り」の残酷さ

  • 9

    金正恩の背後の足場に「死亡事故を予感」させる恐怖…

  • 10

    「魚や貝を通じてプラスチックを食べている」という…

資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

特別編集 ジュラシックパークシリーズ完全ガイド

絶賛発売中!