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焦点:止まらない米国債フラット化、年金基金投資が後押し

2018年05月01日(火)16時34分

4月25日、巨額の資産を抱える米企業年金基金が相当な規模の資金を債券市場に移しつあり、米国債の利回り曲線を一段とフラット化させる力になるかもしれない。写真は2017年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

[ニューヨーク 25日 ロイター] - 巨額の資産を抱える米企業年金基金が相当な規模の資金を債券市場に移しつあり、米国債の利回り曲線を一段とフラット化させる力になるかもしれない。

コンサルタント会社のミリマンによると、米株式市場が上昇したおかげで、ボーイングやベライゾン・コミュニケーションズなどの企業が年金基金に数十億ドル規模の拠出を行ったため、米国の年金基金は昨年、積み立て不足が724億ドル縮小した。

しかし年金基金は積み立て状況が改善するとともにポートフォリオのリスク低減を図り、再び資産を株式から長期債へ戻し、社債や米国債の10年物と30年物の需要が強まった。

年金基金は保有資産が1兆5500億ドルに上り、こうした配分見直しがかなりの規模で行われると、フラット化を進めるだけの長期債相場上昇をもたらすだろう。

こうした流れは既に始まっているのかもしれない。シュローダーズの債券ポートフォリオマネジャーのニール・サザーランド氏によると、この半年ないし1年の利回り曲線の急激なフラット化は年金基金と保険会社からの引き合いが一因だという。

10年物米国債の利回りは24日に心理的な壁となっていた3.0%を上抜けたが、利回り曲線は年初と比べて大幅にフラット化したままだ。5年債と30年債の利回り差は1月2日には0.51%ポイントだったが、25日時点で0.38%程度にとどまっている。

債券市場に実際にどれだけの資金が流れ込むかを巡ってはさまざまな推計がなされている。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの首席年金ストラテジストのマイケル・モラン氏は、米企業の年金基金の高格付け長期債投資は今後数年間、毎年1500億ドル程度で推移するとみている。

UBS・グローバル・アセット・マネジメントの投資ソリューションチームのアセットアロケーション部門エグゼクティブディレクター、ルイス・フィニー氏は、年金基金は昨年のリターンの半分強を債券に投資すると見積もっている。

ミリマンによると、米上位100社の企業年金は昨年、積立率が86%になった。前年比で5%、724億ドル準備金が増えた形で、この半分に相当する362億ドルが長期債に流入してもおかしくないわけだ。

企業側が9月前に年金基金に340億ドルを拠出することも長期債の価格上昇につながりそうだ。昨年成立した米税制改革では、9月以降は年金基金への拠出に適用される税控除率が引き下げられる。

年金基金は債券に投資する際に社債を優先する。しかし社債の供給は乏しく、米国債の購入がさらに拡大するのではないか。モラン氏によると、高格付けの30年社債の発行額は年1650億ドル程度だという。

米企業は税制改革を受けて海外利益を本国に送還しており、新規の社債発行の必要性は薄れそうだ。モラン氏は、高格付け長期債に対する年金基金の需要は平均1500億ドル前後に上り、「奪い合いの様相を呈するかもしれない」と述べた。

(Kate Duguid記者)

ロイター
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