ニュース速報

ビジネス

米経済、関税懸念されるも依然成長軌道=地区連銀報告

2018年04月19日(木)07時17分

4月18日、米連邦準備理事会は地区連銀経済報告で、米経済は引き続き成長軌道に乗っているとの認識を示した。写真は2014年10月、ワシントンのFRBビル前で撮影(2018年 ロイター/Gary Cameron)

[ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は18日に公表した地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)で、「堅調」な企業の借り入れ、消費支出の増加、労働市場の引き締まりを踏まえると米経済は引き続き成長軌道に乗っているとの認識を示した。世界的な貿易戦争のリスクも指摘した。

FRBは報告で、企業の全般的な見通しは「引き続き前向き」と指摘。ただトランプ米政権の関税を巡る政策は懸念事項となっているとし、「製造業、農業、運輸業を含む多様な部門から、新たに導入された関税措置、および提案された関税措置に対する懸念が示された」とした。

実際、今回の報告書では「関税」という言葉が36回使われ、物価に影響を及ぼす要因や見通しへの懸念材料として言及された。3月に発表された前回の報告書では「関税」への言及は一度もなかった。

こうした懸念以外は、米経済は好調なもようだ。2017年12月に承認された減税政策の効果が、企業支出や投資に表れ始めている兆しもあった。複数の地区が、商業・産業用の融資が増加したと報告。セントルイス地区は前年同月比17%増と、「底堅く」伸びたとし、アトランタ地区は「順調に」伸びたと表現した。クリーブランド地区は「健全な」融資需要があったと報告。ダラス地区は「商業と産業、商業用不動産の融資額は伸び率が著しく拡大した」とした。

FRB当局者らは、法人税が最近大幅に下がったことで投資ブームがくると期待している。借り入れが増えたことはこうした現象の前兆かもしれない。

FRBは年内にあと少なくとも2回、場合によっては3回利上げする姿勢だ。好調な借り入れ状況は、こうした姿勢を支える材料となるだろう。FRBは3月の会合で利上げした。5月の次回会合では金利を据え置くとの見方が大勢だ。

物価は全国的に「緩やか」に伸びた。トランプ政権が鉄鋼に輸入関税をかけると発表したことで、鉄鋼は一部の地域で「大幅に」上がった。

企業は引き続き、労働力不足を指摘した。工学や情報技術、ヘルスケア部門において高い技術を必要とする労働力を中心に、広範な部門が人手不足だ。これが長らく待ち望まれていた賃金の伸びにつながっているケースもある。ただ賃金の伸びは総じて「控えめ」だった。

報告書は「企業はさまざまな方法で労働力不足に対応した。賃上げから研修の強化、残業時間や自動化の活用だ」とした。「賃金上昇圧力は続いたが、全般的に加速はしなかった」と付け加えた。

今回の報告は4月9日までに入手された情報に基づき、ダラス地区連銀が作成した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアが原子力魚雷「ポセイドン」の実験成功 プーチ

ワールド

Azureとマイクロソフト365の障害、徐々に復旧

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、9月は横ばい 金利低下も雇用

ビジネス

カナダ中銀、0.25%追加利下げ 総裁「見通しに変
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 7
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 10
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中