ニュース速報

ビジネス

ブラックストーン、トムソン・ロイターF&R部門の過半数株取得

2018年01月31日(水)12時50分

 1月30日、関係筋によると、トムソン・ロイターの取締役会は、米プライベート・エクイティ会社ブラックストーンによるファイナンシャル&リスク(F&R)部門の過半数株式取得を承認し、契約に署名した。写真はトムソン・ロイターのロゴ。NY市の同社建物で撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

[ロンドン/ニューヨーク 30日 ロイター] - 米プライベート・エクイティ(PE)会社ブラックストーンは30日、トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク(F&R)部門の過半数株式取得で合意した。両社が発表した。

ブラックストーンが手掛ける買収案件としては金融危機後で最大で、金融情報サービス事業に本格参入する。同社のスティーブ・シュワルツマン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)と、金融情報サービス最大手ブルームバーグのマイケル・ブルームバーグCEOという2人の著名資産家が、業界の覇権を巡り攻防を繰り広げることになる。

発表文によると、ブラックストーンは新たに分離されたF&R事業の株式55%を取得し、トムソン・ロイターは45%を維持する。トムソン・ロイターは現金30億ドルと分離後の同事業が発行する債券・優先株の計140億ドルを含む約170億ドルを受け取る見通し。

カナダ年金基金投資委員会(CPPIB)とシンガポール政府投資公社(GIC)もブラックストーンとともに出資する方針だが、保有率は明らかになっていない。

新たなパートナーシップ下では、ブラックストーン任命の5人とトムソン・ロイター任命の4人を含む10人で構成する取締役会が経営を担う。株式取得手続きの完了後、社長兼CEOが議決権のない取締役に就任するが、誰になるかは明かされていない。

事情に詳しい2人の関係筋によると、F&R部門の株式売却に向けた協議は昨夏に始まった。最大の争点となったのが、国際的なニュースサービス「ロイター」の扱い。ロイターは主力商品「Eikon(アイコン)」を通してニュースや分析を提供している。

トムソン・ロイターの発表文によると、同社の報道部門の独立性を監視してきたトムソン・ロイター・ファウンダーズ・シェアは、同部門の行動規範であるトラスト・プリンシプルズ(信頼の原則)に変更が加わることに同意した。1人の関係筋は、「独立性」や「偏見の排除」、「信頼できるニュース」の提供というコミットメントは変わらないと述べた。

ロイター・ニュースは、法務・税務・会計の各部門とともに、トムソン・ロイターの傘下にとどまる。

F&R事業はロイターからニュース配信を受けるため、年間3億2500万ドル以上を支払う見通し。

トムソン・ロイターは株式売却手続きが2018年下期に終了するとの見通しを示した。

同社は、今回受け取る170億ドルのうち、90億─110億ドル程度を公開買い付けによる自社株買いに充てるとした。また、債務の返済や法務・税務・会計事業の投資にも活用する。

カナダのトムソン一族の持ち株会社でトムソン・ロイターの主要株主であるウッドブリッジは買い付けに応じる見通し。ウッドブリッジはトムソン・ロイター株の50─60%は維持する方針。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

農林中金、4ー9月期の純利益846億円 通期見通し

ビジネス

午後3時のドルは155円前半、財務相・日銀総裁会談

ビジネス

日経平均は4日続落、米エヌビディア決算控え売買交錯

ワールド

ウクライナ西部で爆発、ロシアがミサイル・無人機攻撃
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中