ニュース速報

ビジネス

英中銀、景気・インフレ加速続けば「数カ月」内に利上げ

2017年09月15日(金)09時06分

 9月14日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は14日、政策金利を0.25%に据え置くことを予想通り決定した。写真は英中銀、8月ロンドンで撮影(2017年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン 14日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は14日、経済やインフレ圧力の拡大が続けば、今後数カ月内に政策金利を引き上げる公算が大きいとの見解を示した。利上げが近付いているとのシグナルをこれまでより鮮明にした。

この日の金融政策委員会(MPC)では政策金利を0.25%に据え置くことを予想通り決定した。

据え置きの決定は7対2だったが、目標を上回るインフレ率への忍耐は低下しつつあり、すべての委員が市場の予想より早期に利上げする可能性があると考えていることが示された。

中銀の発表後、英ポンドは対米ドルで1年ぶり高値に上昇。市場が織り込む年内利上げの確率は50%を超えた。

中銀は「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数カ月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」と説明した。

また、カーニー総裁はテレビインタビューで、自身を含めMPC委員らが、経済に対するリスクのバランスは欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の影響からインフレ加速にシフトしていると考えているとし、利上げの可能性は「確かに高まった」との認識を示した。

野村のエコノミスト、ジョージ・バックリー氏は「11月の利上げはあり得る」と述べた。一方、インフレや雇用、賃金関連の指標が予想を下回ったり裏切る内容となれば、中銀は軌道修正を余儀なくされる可能性も残るとした。

エコノミストの間では、年初来の成長鈍化やブレグジットを巡る不透明感を踏まえると中銀は利上げを急がないとの見方も根強い。

実際、中銀はこの日、ブレグジットを含め今後の見通しには「かなりのリスク」があるとの認識を示した。

経済状況は先月の予想より若干改善が進み、インフレは10月に3%を超えるとの見通しを示した。これは従来の予想をやや上回る水準。8月のインフレ率は2.9%だった。

前年比2.1%の賃金上昇率については、大半のエコノミストがなお弱いとみているのに対し、中銀は、より短期的にみれば年換算3%のペースで上昇していると分析、統計では実際よりも賃金が低く表れている可能性もあると指摘した。

中銀はさらに、インフレが重しとなって年初に低迷していた個人消費がこのところ上向いている可能性があるとの認識も示した。

ただ、中期的に国内総生産(GDP)成長の加速がどのくらい続くかは不透明で、ブレグジット交渉に対して家計や企業がどう反応するのかも不明だとした。

メイ英首相は来週、ブレグジットについて演説を行い、首相率いる保守党は10月に党大会を開く。メイ氏は10月、EU首脳会議にも出席する。

シティのエコノミストは、利上げまでの道のりにはなおハードルがあるとし、「そうしたイベントを景気信頼感への大きな影響なく通過し、インフレが10月に3%を超え、労働市場が引き続き引き締まれば、11月にも25ベーシスポイント(bp)の利上げが現実となり得る」と指摘した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月経常収支は2兆8335億円の黒字=財務省

ワールド

中国機の安全阻害との指摘当たらず、今後も冷静かつ毅

ビジネス

バークレイズ、英資産運用大手エブリン買収を検討=関

ワールド

独仏首脳、次世代戦闘機開発計画について近く協議へ=
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中