ニュース速報

ビジネス

米経済は危機後導入の改革で強化、変更控えめに=FRB議長

2017年08月26日(土)00時30分

 8月25日、米FRBのイエレン議長が講演した。写真はワシントンで7月撮影(2017年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は25日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開催中の年次経済シンポジウムで、2007─09年の危機以降に導入された改革により、経済成長を阻害することなく金融システムが強化されたとし、いかなる将来的な変更も控えめなものにとどめる必要があるとの考えを示した。

この日の講演では金融政策については言及しなかった。

イエレン議長は「導入された中核的な改革により、不当に信用枠や経済成長が制限されることなく、レジリエンス(回復する力)が大幅に強化されたことが調査で示唆されている」と指摘。

ただ、銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」のほか、中小行に対する規制など、個別の規制を一部変更することは正当化されるとの認識を示し、金融システムは引き続き「堅固」であるとしながらも、債券市場の一部の流動性改善に向けた措置は必要となっていると述べた。

そのうえで、現在の金融システムは将来的に発生する可能性のある衝撃に対する耐久力が増しており、こうした金融システムに対しては「規制の枠組みの調整は控えめなものにとどめ、レジリエンスの高まりを保全するものである必要がある」との考えを示した。

トランプ米大統領はこれまでに金融規制改革法(ドッド・フランク法)などの規制が経済の足かせになっているとし、金融規制を見直す方針を表明。トランプ氏がFRBの銀行監督担当副議長に指名したランダル・クォールズ氏はこうした見直しの推進派として知られている。

イエレン議長は、自身および現在のFRB当局者はさまざまな規制が実際にどのように運用されているのか検証することには反対していないとし、「適切な調整を検討している」と表明。ただ、過去から学んだ教訓を忘れてはならないとの認識を示し、現在の金融システムの安定性は、危機の再来に対する防御となっていると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

グリーンランドと自由連合協定、米政権が検討

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに

ワールド

韓国与党、大統領選候補指名やり直し 韓前首相に一本

ビジネス

中国4月CPI3カ月連続下落、PPI下落加速 貿易
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 7
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中