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NY市場サマリー(12日)

2019年06月13日(木)07時06分

[12日 ロイター] - <為替> トランプ米大統領が米中通商合意について楽観的な見方を示したことを受け、ドルが上昇した。

米中貿易戦争で世界的な経済成長が阻害される懸念を背景に米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が高まる中、ドルはこのところ圧迫されていた。ただ、米国の政策金利はユーロ圏よりも高い水準にあるため、ドルはユーロに対し継続的に下落する事態にはなっていない。

CIBCキャピタル・マーケッツ(トロント)の北米外為戦略部門責任者、ビパン・ライ氏は「米国とユーロ圏との間にはまだ極めて大きな金利差が存在しているため、FRBの利下げ観測が高まる中でもドルはユーロに対して地合いを保っている」と述べた。

トランプ大統領はこの日、米中は通商問題で合意に至る「気がしている」と発言。ただ、合意が得られない場合は中国製品に対する関税を引き上げると改めて警告した。[nL4N23J3PQ]

トランプ氏はこのほか、ロシア産ガスをバルト海経由で欧州に輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」プロジェクトを巡る制裁措置を検討しているとし、ドイツに対しエネルギーでロシアに依存しないよう警告。[nL4N23J3LB]これを受け、ユーロに売りが出た。

この日発表の米経済指標では、5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)が前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは4カ月連続で前月比0.1%上昇した。[nL4N23J2YL]発表後の朝方の取引では、ドルがやや弱含む場面もあった。

英ポンドは下落。野党・労働党による合意なき離脱阻止に向けた動きが議会で阻まれたことが売り要因となった。

<債券> 5月の消費者物価指数(CPI)が落ち着いた内容となり利下げ観測が強まる中、短期債中心に利回りが低下し、長短金利差は拡大した。

5月のCPIは総合、コア指数ともに前月比の伸びが0.1%にとどまった。コア指数の前年比の伸びは2.0%と4月の2.1%から鈍化した。一方、内訳を見ると家賃や医療費の価格が伸びており、米連邦準備理事会(FRB)はある程度時間をかけて金融緩和に踏み切る可能性もある。[nL4N23J2YL]

RBCキャピタル・マーケッツの米金利戦略部長、マイケル・クロハティー氏は「今回の統計で物価の落ち込みなどを示す兆候は見られないが、緩和期待は高まるだろう」と述べた。

2年債利回りは3.3ベーシスポイント(bp)低下し1.888%。10年債利回りは1.6bp低下し2.124%。2年債と10年債の利回り格差は23.7bp拡大した。

CMEグループのFEDウオッチによると短期金利先物が織り込む7月の利下げ確率は69.1%。7月までに2回利下げが起きる確率も前日の12.4%から17.2%に上昇した。

前出のクロハティー氏は、これまでのFOMC声明で金利調整に「忍耐強い」姿勢が示されていることについて、「もし『忍耐強い』との文言が削除されれば利下げは確実になる。もし文言が踏襲されれば不確実さが残るだろう」とした。

この日行われた10年債入札は引き合いが前回から改善したほか、最高落札利回りは2.13%と2016年11月以降で最低を記録した。ただ相場への影響はあまり見られなかった。

30年債利回りは0.3bp上昇し2.619%。

<株式> 小幅安で取引を終えた。利下げ観測の高まりから銀行株が下落したほか、エネルギー株も原油価格に連れ安した。また米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控え、持ち高調整の売りも出た。

ウェドブッシュ証券(ロサンゼルス)の株式トレーディング部マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「来週にかけて過度に高値を目指す動きは想定しにくい」と述べた。

S&P500エネルギー株指数<.SPNY>は1.4%安と、業種別で最も値下がりした。米原油在庫の大幅な増加や世界的な石油需要に対する弱気見通しが嫌気され、米原油価格は4%下落した。[nL4N23J3R1]

銀行株<.SPXBK>は1.4%安。金融株<.SPSY>は1%下落。ただ、今月は利下げ期待が下支えとなりS&P総合500種指数<.SPX>は4.6%値上がりしている。

米中貿易摩擦を巡っては前日のトランプ大統領の発言が尾を引いた。トランプ氏は中国側が4、5項目の「主要な点」で再び合意しない限り、協議を先に進めないと表明した。[nL4N23I434]

フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)<.SOX>は2.3%安。半導体大手のマイクロン・テクノロジー、アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチはそれぞれ5%強値下がりした。

交流サイト大手フェイスブックは1.7%安。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として、批判を受けている同社の個人情報保護の問題でマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の関与を示すような電子メールが見つかったと報じた。[nL4N23J3R3]

<金先物> 世界的に軟調となった株価動向などを背景に買われ、続伸した。中心限月8月物の清算値は前日比5.60ドル(0.42%)高の1オンス=1336.80ドル。

この日は世界的に株価が軟調となり、金塊は安全資産としての側面から買いを集めた。長引く米中「貿易戦争」の打開見通しが依然立っていないほか、香港で「逃亡犯条例」改正案に反対する抗議行動が広がっていることなどを背景に、リスク投資に慎重なムードが再燃。金塊相場は未明の時間帯に一時1342.30ドルの高値を付けた。

また、米労働省が朝方発表した5月の消費者物価統計では、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数が前月比0.1%上昇し、市場予想(ロイター通信調べ)の0.2%上昇を下回った。これも連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測を後 押しし、金利を生まない資産である金塊の支援材料となったもよう。ただ、外国為替市場 でドルがユーロに対して強含みに推移したことが金塊の割高感につながり、上値はやや抑 えられた。

<米原油先物> 米原油在庫の予想外の増加や世界的な需要減退懸念などを背景に大幅反落した。米国産標準油種WTI7月物の清算値は前日比2.13ドル(4.00%)安の1バレル=51.14ドルと、中心限月の清算値ベースで1月14日以来約5カ月ぶりの安値を更新した。8月物の清算値は2.15ドル安の51.37ドル。

原油相場は前日夕から軟調に推移。米エネルギー情報局(EIA)がこの日午前に発表した週報によると、7日までの1週間の国内原油在庫は前週比220万バレル増と、50万バレル減の市場予想(ロイター通信の拡大版調査)に反して大幅な積み増し。原油在庫の増加はこれで2週連続となった。ガソリン在庫は70万バレル増の予想に対して80万バレル増の積み増し。一方、ディスティレート(留出油)在庫は110万バレル増の予想に反して100万バレルの取り崩しとなった。市場はとりわけ原油在庫の増加に注目。米国内の供給過剰懸念が強まったことから、相場は下げ幅を拡大した。

さらに外国為替市場では午後に入り、ドル高・ユーロ安が一段と進行。ドル建てで取引される原油などの商品に割高感が生じたことも売りに拍車を掛けた。このほか、EIAが前日公表の月報で、2019年の世界の原油需要見通しについて伸びが日量平均120万バレルにとどまると予想し、前月時点から20万バレル下方修正。米中貿易摩擦の激化などが世界的なエネルギー需要の減退につながるのではないかとの警戒感がくすぶっていることも相場の下押し要因となったもようだ。

ドル/円 NY終値 108.49/108.52

始値 108.34

高値 108.54

安値 108.27

ユーロ/ドル NY終値 1.1287/1.1292

始値 1.1318

高値 1.1340

安値 1.1283

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 105*10.00 2.6178%

前営業日終値 105*11.00 2.6160%

10年債(指標銘柄) 17時05分 102*08.00 2.1222%

前営業日終値 102*03.00 2.1400%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*19.00 1.8741%

前営業日終値 100*14.00 1.9070%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.88 1.8827%

前営業日終値 100*12.63 1.9200%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 26004.83 -43.68 -0.17 <.DJI>

前営業日終値 26048.51

ナスダック総合 7792.72 -29.85 -0.38 <.IXIC>

前営業日終値 7822.57

S&P総合500種 2879.84 -5.88 -0.20 <.SPX>

前営業日終値 2885.72

COMEX金 8月限 1336.8 +5.6 <0#GC:>

前営業日終値 1331.2

COMEX銀 7月限 1475.3 +1.3 <0#SI:>

前営業日終値 1474.0

北海ブレント 8月限 59.97 ‐2.32 <0#LCO:>

前営業日終値 62.29

米WTI先物 7月限 51.14 ‐2.13 <0#CL:>

前営業日終値 53.27

CRB商品指数 173.2433 ‐1.6248 <.TRCCRB>

前営業日終値 174.8681

ロイター
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