ニュース速報

米FRB当局者、経済鈍化なら対応と明言 通商問題に警戒

2019年06月06日(木)03時04分

[シカゴ 5日 ロイター] - シカゴで開催中の米連邦準備理事会(FRB)の会議は2日目を迎えた。当局者らは、国内経済が鈍化すれば対応すると明言。景気の勢い失速を示す兆候が意識される中、貿易戦争が景気拡大を脅かせば、利下げの用意があると示唆した。

FRBのブレイナード理事はヤフーファイナンスとのインタビューで、「経済拡大を持続するために政策を調整する用意がある」と表明。「米経済は概して非常に長期の拡大のさなかにあり、米消費者の信頼感も維持している。ただ貿易政策は間違いなく経済のダウンサイドリスクだ」と語った。

ダラス地区連銀のカプラン総裁は、通商問題を巡る緊張の高まりで米経済に対する下向きリスクは高まったとブルームバーグに述べた。

トランプ政権が表明した対メキシコ関税措置については、実際に導入されないと「まだ希望を持っている」と表明。メキシコと強固な関係を築くことが米国の国益にかなうと述べた。ただ対メキシコ関税措置の表明は企業心理の冷え込みにつながっているとの認識を示した。

シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、ブルームバーグテレビのインタビューで、「抑制された」2.5%のインフレ率ならFRB目標に反しないとの認識を示した。

同氏は「インフレ率2─2.25%を実現すべく、適切な緩和環境にあるのか疑問に思うかもしれない」とし、比較的抑制される限り2.5%ならシンメトリックなインフレ目標に反しないと指摘した。

FRBのパウエル議長は4日の講演で、貿易戦争が及ぼす影響をFRBは「緊密に注視」しており、「適切に行動する」と述べた。

当局者らは、景気が低金利・低インフレのサイクルから抜け出せず、景気後退からの回復がより困難になる可能性などに懸念を示している。

こうしたリスクに対応するため、インフレの2%目標超えを一時的に受け入れるかどうかや、低めの金利をより長期間維持するかについて検討しているほか、最大雇用の定義や対外的な情報発信の見直しも進められている。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、一部銀行の債券投資調査 利益やリスクに

ワールド

香港大規模火災、死者159人・不明31人 修繕住宅

ビジネス

ECB、イタリアに金準備巡る予算修正案の再考を要請

ビジネス

トルコCPI、11月は前年比+31.07% 予想下
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 9
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 10
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中