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米FRB副議長、忍耐強い金利政策の転換示唆せず
[ニューヨーク/サンフランシスコ 30日 ロイター] - 債券市場で米中貿易摩擦による経済成長への影響を巡る懸念が高まる中、米連邦準備理事会(FRB)当局者は30日の講演で、金利政策における忍耐強い姿勢の転換を示す手掛かりはほとんど与えなかった。
FRBのクラリダ副議長は講演で、「米経済は非常に良好な状況にある」と述べ、50年ぶりの低水準近辺にある失業率や抑制されたインフレ圧力、安定的なインフレ期待を指摘したほか、堅調な成長率が今後も続く見通しとした。
さらに、政策金利は適切な水準にあり、FRBの二大責務である最大雇用と物価安定の達成にも極めて近いことを示す多くの兆候を確認していると述べた。
一方で、自身の見通しに対する主要なリスクとして、世界経済の減速の兆しと予想を下回る米インフレ率を挙げた。
クラリダ氏は「FRBは見通しに対する潜在的なリスクを注視している。見通しに対し下振れリスクが確認されれば、より緩和的な政策を必要とする要因になり得る」と述べた。
FRBは今年、政策金利を2.25─2.50%に据え置いているが、米中貿易摩擦や低インフレを背景に、市場ではFRBの次の金利変更は利下げになるとの見方が強まっている。
米国債利回りは今週、質への逃避の動きから大幅に低下し、30日も一部で逆イールドの状態が続いた。3カ月物財務省短期証券(Tビル)の利回りは2.37%と、2年債
こうした中、FRBのクオールズ副議長(金融規制担当)は30日の講演で、金融安定リスクへの対応において金利は最善の手段ではないとしてきたFRBの見解をあらためて表明した。
クオールズ副議長は講演で金利に直接言及しなかったものの、今後数カ月間の利下げを見込む金利先物市場の予想を裏付ける内容はほとんど見当たらなかった。
「緩和的な金融政策は、景気拡大の初期段階では経済活動を支えるために必要だが、特に過度に長期にわたって(政策を)維持した場合、金融システムの脆弱性を高める可能性がある」と述べた。
クラリダ、クオールズ両副議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持ち、クラリダ氏は特に影響力が大きいとみられている。
米インフレ率は当局者の予想を下回る水準で推移している。クラリダ氏は、弱い物価上昇の一部は「一時的」となる可能性もあるが、現在のインフレ期待はインフレが適切なレンジの「下限」にあることを示唆していると指摘した。
米商務省が30日発表した第1・四半期のコア個人消費支出(PCE)価格指数(改定値)は1.0%上昇と、速報値の1.3%上昇から下方改定され、FRBが目標とする2%からさらに遠ざかった。
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