ニュース速報

ファーウェイ、米違憲訴訟で略式判決要請 専門家「棄却の公算」

2019年05月30日(木)02時04分

[香港 29日 ロイター] - 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]は、同社の製品を米政府機関が調達することを禁じる米国防権限法(NDAA)は違憲だと訴えた裁判で、審理を省略できる略式判決を米テキサス州の連邦地裁に申し立てた。

米国は世界市場からファーウェイ製品を締め出すことも辞さない構えで、今回の動きによりこうした制裁措置に対抗する。

28日に同地裁に提出された資料で明らかになった。同社は3月に米政府を相手取り訴訟を起こしていた。

ファーウェイの主任弁護士はロイターの取材に、連邦地裁が9月の審理開催予定に同意したと明かした。

国防権限法は昨夏に成立。安全保障の観点から、政府機関がファーウェイと中国の同業、中興通訊(ZTE)と取引するのを禁止する規定が盛り込まれた。

ポンペオ米国務長官は29日、フォックス・ビジネス・ネットワークのインタビューで「ファーウェイは中国政府の道具」と指摘。「両者は密接な関係にある。それは米国人には理解しがたいものだ」と語った。

ファーウェイは繰り返し、同社が中国の政府や軍、情報機関の影響下にあるとの見方を否定してきた。

<米制裁拡大、ファーウェイ「極めて危険な前例に」>

米政府は、ファーウェイに対する制裁を拡大してきた。米中貿易摩擦が激化する中、米商務省は今月、同社に対する事実上の輸出禁止規制を導入した。

ファーウェイの最高法務責任者、宋柳平氏は米側の措置で、1200超の供給業者や170カ国の顧客30億人に影響が及びかねないという見方を示した。

宋氏は、米政府の行政命令・法律を1社のみに適用することは「極めて危険な前例となる」と指摘。記者団に「きょうは通信、ファーウェイだが、あすは御社やあなたが関わる業界、御社の顧客(が狙われる)かもしれない」と話した。

シニアバイスプレジデントのビンセント・パン氏は、大統領令や購入規制を巡る動きについて、正常な市場競争の領域を越えたと指摘。「世界的な技術のエコシステムや標準の分断につながる恐れがある」と語った。

また、「政治」情勢に伴い、次世代通信規格「5G」の中国導入が遅れるとはみていないとした。

<訴え棄却の公算>

一部の法律専門家は、米裁判所が権力分立の観点から国家安全保障の方針を批評することに消極的として、ファーウェイの訴えが退けられる公算が大きいとみている。

昨年11月には、政府機関での利用禁止を巡りロシアの情報セキュリティー会社、カスペルスキー研究所が起こした同様の訴えを連邦控訴裁判所が退けた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏とフアン氏、米サウジ投資フォーラムでAI討

ビジネス

米の株式併合件数、25年に過去最高を更新

ワールド

EU、重要鉱物の備蓄を計画 米中緊張巡り =FT

ワールド

ロシアの無人機がハルキウ攻撃、32人負傷 ウクライ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中