ニュース速報

メキシコ高官、米鉄鋼アルミ関税問題「解決近い」 カナダの対応注視

2019年05月16日(木)10時53分

[ワシントン 15日 ロイター] - メキシコのセアデ外務次官(北米担当)は15日、米国の鉄鋼・アルミ輸入関税を巡る対立は解決に近づいているとの認識を示した上で、この問題でカナダが米国と合意に至ることにも期待を示した。

セアデ氏はロイターの電話取材に応じ、関税撤廃での合意は「非常に近い」とし、カナダが米国との交渉で同じスタンスを取ることを望むと述べた。

同次官は「数量制限なし」での関税撤廃をここ1週間協議してきたと述べた上で、カナダが「同様の」合意をまとめる可能性は十分にあると続けた。

将来的に貿易で急激な動きが生じた場合、「対話や監視制度」を通じて対処することが可能とした。また、カナダなしで合意を結ぶことが選択肢として残っていると語った。

ムニューシン米財務長官も15日、カナダやメキシコとの鉄鋼・アルミ輸入関税問題で解決が近づいているとの認識を示したが、カナダのフリーランド外相は合意の見通しに関する直接的なコメントを避けた。

ムニューシン長官は上院の小委員会で、関税問題の解決を巡り「合意が近づいていると思う」と語った。ただ、詳細は明らかにしなかった。

カナダのフリーランド外相は、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とこの日、カナダ産鉄鋼に対する米通商拡大法232条について協議したことを明らかにした。

同外相はワシントンでの会談後、記者団に対し「米加がこうした関税を撤廃し、自由貿易を展開することが両国に最良の結果をもたらすことは明白」としつつも、両国が合意に近付いているかどうかについてはコメントを控えた。

USTRの報道官も会談に関するコメントを控えた。

CNBCが高官筋の情報として報じたところによると、ライトハイザー代表は、鉄鋼・アルミに対する関税撤廃に向けた手続きを提案する見通し。

フリーランド外相はその後、合意の見通しについて聞かれ、カナダの交渉戦略についてはコメントしないと語った。米国が関税を維持すれば、米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の批准に「大きな問題」となるとの認識も示した。

米、カナダ、メキシコの3カ国は昨年、USMCAに署名。しかし、米国はその後もカナダやメキシコに対する鉄鋼・アルミの輸入制限措置を継続している。

カナダとメキシコや一部の米議員は関税の撤廃がUSMCA批准の条件との認識を示している。

カナダとメキシコは、鉄鋼・アルミ関税に対する報復措置として米国からの一部輸入品に関税を発動。

メキシコのセアデ外務次官は、現時点で新たに米製品を報復関税の標的にするのは適切でないと指摘。「それは必要な措置ではないと思う。現在は交渉をまとめることに集中すべきだ」と語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中