ニュース速報

一帯一路、環境に優しく持続可能なものに=中国国家主席

2019年04月27日(土)01時24分

[北京 26日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は26日、巨大経済圏構想「一帯一路」は環境に優しく持続可能であると同時に、誰もに「質の高い」成長をもたらすものでなければならないとの考えを示した。

北京で開催されている一帯一路の国際会合の基調講演で語った。

習主席は、一帯一路構想は環境保護に裏打ちされたものでなければならないとし、「オープンかつグリーンでクリーンという概念を貫く必要がある」と強調、「ゼロ寛容の姿勢で汚職と戦う」と表明した。

また「質が高く持続可能でリスク耐性があり、価格も妥当な開かれたインフラを構築することで、各国はそれぞれが持つ資源を最大限に活用できる」と述べた。

米国をはじめとする西側諸国は一帯一路構想について、中国の影響力を諸外国に広げる手段にすぎず、参加国は不透明なプロジェクトによって持続不可能な債務を負わされると批判している。

習主席は、中国が一段の市場開放を進める中、一帯一路は中国にも発展の機会をもたらすとの見方を示した。

「さらなる開放の必要性に従い、中国は法規制を改善し、あらゆるレベルの行政認可や市場監督などの分野で政府の行動を制御するとともに、非合理的な規制や補助金、公正な競争を阻害し市場をゆがめる慣行を一掃する」と述べた。

海外からの投資が制限・禁止される分野を特定した「ネガティブリスト」を大幅に削減するとともに、より多くのセクターで外資による過半出資や完全子会社設立を認めることも約束。

また、関税は引き下げられ、非関税障壁は撤廃されるとした。

中国は財・サービスの輸入を拡大することも目指しており、貿易不均衡の是正に向けて競争力のある農産品やサービスを輸入する用意があるという。

習主席はさらに「中国は主要国とのマクロ経済政策の調整を強化し、世界経済にとって強く持続可能で、包摂的かつ均衡の取れた成長を促進するよう好ましい影響をもたらすよう努める」と表明した。

習主席は2013年に一帯一路を提起。リフィニティブのデータによると、アジア、欧州、アフリカ、オセアニア、南米の諸国で実施されている同構想に基づくプロジェクトの総額は3兆6700億ドルに上る。

北京の国際会合にはロシアのプーチン大統領、一帯一路の最大の受益国の1つであるパキスタンのカーン首相、主要7カ国(G7)のメンバーとして初めて一帯一路への支持を表明したイタリアのコンテ首相が出席した。

カーン首相は会合で、世界的に不透明感があるなか、同構想は「協力やパートナーシップ、連結性、繁栄の共有における模範」を示していると持ち上げた。

マレーシアのマハティール首相は同構想への「全面的」な支持を表明した。

一方、北京の在中国米大使館の報道官は、米国はこの会合にワシントンの高官は派遣しないと述べた上で「中国のインフラ外交が、開発や労働者保護、環境保護に関する国際基準並びに優良事例を無視あるいは弱めるものになっているという深刻な懸念を引き続き抱いている」と強調した。

また、欧州連合(EU)主要国であるドイツのアルトマイヤー経済相は、欧州は個別国でなく欧州経済地域(EEA)として覚書を締結したいとの意向を示した[nL3N2282T3]

中国の国有資産規制当局はこの日、中国国有企業少なくとも17社が今回の会合で契約に署名したと発表。中国交通建設や中国蒙牛乳業が含まれ、ロイターの試算によると、契約額は計200億ドルを超える規模になる。

*内容を追加します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中